人口減・高齢化は当面、投資を減らす影響が大きい-日銀の黒田総裁

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  • 金融面から実体経済に及ぼす影響も含め、注意していく必要
  • 信用コストが急激に上昇し、金融システムが不安定化する可能性も

日銀の黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の黒田東彦総裁は19日、都内で講演し、人口減少と高齢化は少なくとも当面、投資を減らす影響が大きいとの見方を示した。

  黒田総裁は「人口減少・高齢化は、少なくとも当面は、貯蓄を増やす影響か、投資を減らす影響、あるいはその両方の影響が大きいと言えそうだ」と述べた。

日銀の黒田東彦総裁

(10月31日)

  その上で、人口や企業数の継続的な減少や低金利環境の長期化で地域金融機関は収益力の低下が続いており、「自己資本比率も緩やかな低下傾向にある」と指摘。景気後退などで自己資本比率が大きく下振れたり、当期純利益の赤字が継続すれば、金融機関のリスクテイク姿勢が慎重化する傾向があるだけに、「金融面から実体経済に及ぼす影響も含め注意していく必要がある」と述べた。

  一方で、銀行収益に減少圧力が働く下で「リスクテイクが過度に積極化する可能性には注意が必要だ」とも指摘。収益減少が続く下で十分な資本蓄積が進まず、適切なリスク管理も行われていない場合、景気悪化につながる大きな外生的ショックが発生すると、「信用コストが急激に上昇し、金融システムが不安定化する可能性も考えられる」と語った。

  日銀は10月31日公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、経済・物価の見通しは「ともに下振れリスクの方が大きい」との判断を示した。低金利環境の下で金融機関収益の下押しが長期化すると、「金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがある」とも指摘。2013年4月の異次元緩和開始以降初めて「先行きの動向には注視していく必要がある」と明記した。

  黒田総裁は講演後の質疑応答で、白川方明前総裁の著書「中央銀行」について見解を問われ、「日銀は1990年代後半から2013年までデフレ脱却に失敗した」と述べた。デフレの背景には金融政策だけでなくさまざまな要因があるが、「日銀は中長期的な物価の安定に責任を持っている」と指摘。2%の物価目標はまだ達成されてないが、13年の量的・質的金融緩和の導入は「日本経済の回復を助けた」と説明した。

(最終段落に白川前総裁の著書に対する見解を加えて更新します.)
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