Photographer: Christopher Lee/Bloomberg

米金融当局の政策運営、12月以降は一段と複雑化する可能性

  • 力強い経済成長や超低水準の失業率が12月の利上げ予想後押し
  • その後は海外の成長鈍化や金融引き締まりなどリスク高まる恐れ
Photographer: Christopher Lee/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長にとって、漸進的な利上げの継続という形で単刀直入に政策判断を下せる連邦公開市場委員会(FOMC)会合の機会は、残り少なくなりつつあるのかもしれない。

  市場が織り込む12月18、19両日のFOMCでの利上げ確率は70%前後で、パウエル議長率いる当局者が先週指摘したように、力強い経済成長や超低水準の失業率がその論拠となっている。

  だが、金融当局が市場の予想通りフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き上げた場合、誘導目標レンジの上限は景気を刺激も抑制もしないと当局者が見なす中立的水準のレンジの下限である2.5%に達し、当局者はさらにどの程度利上げを進めるか判断を迫られることになる。

  金融当局者は9月公表の経済予測で、中立金利を2.5-3.5%とするレンジ推計を示した。現行のFF金利の誘導目標レンジは2-2.25%。

自動操縦からの転換

  投資家はパウエル議長ら当局者の最近の発言について、これまでの「自動操縦」のような政策から、2019年以降は利上げを停止して経済からどんな反応があるか見守るような戦略に転換する可能性を示唆するものと解釈している。

  パウエル議長は14日、「あとどれくらい利上げをするかや、今後の利上げのペースについてわれわれは考えなければならない。そのアプローチの方法として市場や経済、企業がわれわれの政策にどのように反応しているか注視する」と語った

  さらに、「経済以外の例を挙げるなら、照明が消えた家具だらけの部屋を歩くようなものだ。ゆっくりと歩いてみたり立ち止まってみたり、手探りで進むようなもので、政策についても同じことが言える」と付け加えた。

  ルネサンス・マクロ・リサーチのエコノミスト、ニール・ダッタ氏は「何かが壊れるまで当局は利上げし続けるという話があるが、私はそのようには思わない。当局者は世界的な成長の弱さに関心を寄せている」と述べた。

  暗闇での行動を巡るのパウエル議長のたとえ話から明らかなように、金融当局の今後の行動は当局者が何にぶつかるかや、出くわしたものが見通しについてどうした知見を与えるかに大いに依存することになりそうだ。

  FRBのクラリダ副議長やシカゴ連銀のエバンス総裁ら当局者は、完全雇用と推計される水準よりも労働市場の改善が進み、インフレ率が当局目標の2%に達している現状で、政策金利を景気刺激的な水準に保つことに居心地の悪さを感じている。

  金融当局者は9月公表のドット・プロット(金利予測分布図)で、12月に今年4回目となる利上げと、来年は計3回の利上げを見込んでいることを明らかにした。

  クラリダ副議長は16日にCNBCに対し、「中立であることは理にかなうだろう」と語り、シカゴでのイベントに出席したエバンス総裁も同日、「少なくとも中立に戻すことは大いに理にかなう」と、ほぼ同じ表現を使った。

  しかし、利上げ路線を維持したい当局者の希望とはよそに、これまでの利上げが影響を及ぼしつつあることを示す兆しは多くなっている。住宅市場は鈍化に見舞われ、金融市場のボラティリティーは高まっている。投資家が成長と企業利益の見通しを再点検する中で、信用スプレッドは拡大するとともに、世界的な成長の推計は減速しつつある。

  クラリダ副議長は、金融当局として世界経済に関心を払っているとした上で、「その鈍化の証拠が幾つかある」と付け加えた。

原題:Fed’s Job Gets a Lot More Complicated After Likely December Hike(抜粋)

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