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中国が左右する世界EV市場、新規制が来年に迫る-メーカー対応急ぐ

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  • 来年1月から新エネルギー車の最低生産を義務付け
  • 中国の電動乗用車販売は22年に250万台とBNEF-さらに拡大余地も

世界最大を誇る中国の電気自動車(EV)市場がさらに大きくなろうとしている。トヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)など中国で事業を展開する外資系メーカー、国内勢の比亜迪(BYD)や北京汽車を含む全ての主要メーカーが来年1月から新エネルギー車の最低生産要件を満たす必要がある。2019年の生産・輸入車の相当部分が環境規制に対応しなければならず、その後も政府が求める目標値は段階的に上がっていく。

  この規制は炭素排出で世界的に導入されている「キャップ・アンド・トレード」方式に似ている。生産の最低要件を満たせない自動車メーカーは達成した同業他社からクレジットを購入することが可能だ。十分なクレジットを買えなかった場合、政府から罰金を科される、最悪のケースでは組み立てラインの操業停止を余儀なくされる。

  世界最大の温室効果ガス排出国からのメッセージは明確だ。たとえトランプ米大統領が代替燃料への支持を撤回し、地球温暖化防止のパリ協定からの離脱プロセスに着手しても、電動化の将来に向けた道筋をリードしようと中国は本気だということだ。中国にとっては原油輸入への依存を減らし、本土の都市を苦しめるスモッグ対策にも役立つ。

  中国は自動車全般とEVで最大の市場であり、メーカー各社は目標達成に向け開発・生産面の取り組みを急ぐ必要があるだろう。中国指導部は25年までに年間販売全体の約20%に当たる700万台をプラグインハイブリッド、あるいは電動車にしたい考えだ。

  19年に設定されている10%のクレジット獲得目標は、必ずしも販売台数全体の10%を新エネルギー車にするということではない。例えば、300キロメートル超の連続走行が可能な純粋なEVはそれよりもパフォーマンスが劣る車などに比べて多くのクレジットをもたらす。この規制は年3万台余りを製造・輸入する全てのメーカーに適用される。クレジット目標は20年に12%へと引き上げられ、その後も化石燃料車を一掃するという政府の最終目標達成に向けて上がることになる。

Electric Vehicle Sales

Data: Bloomberg Intelligence

  トヨタやフィアット・クライスラー・オートモービルズ、ホンダ、三菱自動車の4社は対策の一環として中国の広州汽車集団が開発する同じ電動スポーツタイプ多目的車(SUV)を使い、各ブランド名で販売する計画だ。独自色を打ち出すマーケティングが尊重される業界では理想的とは言えないが、メーカーが各自で技術開発するまでは歩み寄りが必要になっている。

  規制面を見ると、自動車メーカーが相次いでEVを投入する理由は明らかだが、消費者がEVを望んでいるかは定かではない。EV価格がなおガソリン車よりも大幅に高いことはどこも同じだ。中国では、重慶長安汽車の「奔奔Mini」などガソリン車が2万9900元(約49万円)から販売されており、価格差は歴然としている。

  現時点では中国政府がこうした差を埋めるため補助金を出しているが、これも段階的に縮小して21年にはなくなる。ただ、政府には需要が十分なかった場合の選択肢がまだある。北京や上海、深圳など大都市の一部では新たなナンバープレートの発行を限定することで交通量を制限できる。こうした都市では乗用車を購入する権利を取得するにも多額の費用がかかる。上海では従来型のガソリン車のナンバーを手に入れるのに最大1万4000ドル(約160万円)を要する。一方、EVなら無料だ。

  ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は中国の電動乗用車の販売台数が22年に250万台に達すると見込んでいるが、急成長している内陸部の工業ハブを中心に他の都市でも同様の対策が導入されれば、EVの伸びはさらに大きくなるだろう。

  世界の自動車メーカーにとっては、今後の方向性を決めるのがワシントンではなく北京の政策当局であることがますます明らかになっている。

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:China Is Leading the Rest of the World to an Electric Car Future(抜粋)

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