「くら寿司」のくらコーポ、米国や台湾での上場検討、信頼獲得-社長

  • 国内外での店舗拡大で売上高5000億円、1兆円規模目指す
  • 電子タグ活用の在庫管理手法などでコスト減、1皿100円は当面維持

回転すしチェーン「くら寿司」を展開するくらコーポレーションは米国や台湾で店舗数の拡大を目指しており、消費者からの信頼を得るため現地の証券取引所で上場することも検討している。

  同社の創業者でもある田中邦彦社長は先月の大阪府でのインタビューで、信用獲得を狙い「創業以来の目標であった東証への上場の次は、アメリカや台湾での上場を目指す」と話した。

くら寿司の店舗で回るすしネタ

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  同社の資料によると、くら寿司は国内回転すし市場で首位の「スシロー」、「はま寿司」に次ぐ3位で約20%のシェアを持ち、国内では423店舗、09年に進出した米国で19店舗、14年進出の台湾で15店舗を運営している。

  前期(2017年10月期)の売上高は1228億円と、12年10月期比で55%増えた。田中氏は、当面は国内で毎年25店舗、米国と台湾ではそれぞれ10店舗ずつ増やす方針で、「売上高を5000億円、1兆円規模に成長させたい 」と述べた。

  順調な売上高の伸びを背景に株価は上昇。15日の株価終値は6840円と、14年初めと比較すると4倍超となっている。しかし、5月29日につけた上場来最高値からは約2割下落している。9月の決算発表時に今期(18年10月期)の業績予想を上方修正するとの期待があったものの、据え置かれたことなどが売りを誘った。

酢メーカー勤務がきっかけ

  田中氏がすし店の起業を決意したのは、酢のメーカーで営業職として勤務したことがきっかけ。他の外食と比べ高額だったすしだが、経営や在庫管理を効率化すればコストを削減でき低価格で提供できるのではないかと考え、300万円を元手に1977年に大阪府堺市で持ち帰り方式のすし店を開業した。数年後に回転すしに転換し、以来約40年間1皿100円の基本方針を守り続けている。

  田中氏は「まぐろの原価は30年前から3割程度上がり、人件費も5年前に比べると1割ほど上がっているが、現時点で今後1年以内に100円から値上げするつもりはない」と話す。低価格の秘密は単に原価や人件費を抑えるだけでなく、食品の無駄を減らすための独自の在庫管理技術にあると明かす。

  入店後の経過時間を計りながら客の飲食データを集め、レーンに流す商品の種類と数を決める。販売動向を即座に数値化することで無駄を減らすことが可能となった。さらに、特許を取得したすしを覆うプラスチック製カバー「鮮度くん」の開発にも田中氏自身が携わった。客が皿に触れると鮮度を守るためのカバーが自動的に上がる仕組みだが、埋め込まれた電子タグでレーン上の商品の数を管理している。

データセンターで監視

  現在は約25人の人材を配置したデータセンターで店舗ごとの状況をモニターし、仕入れる魚の量などを割り出している。同氏は「各店舗の店長は大学を卒業して数年の若手が多く、均質なサービスを提供するためにもデータセンターでの統制が必要」と指摘した。

  材料の調達にもコスト削減の秘密が隠されている。通常の仕入れに加えて天然魚の仕入れでは漁船から1隻分の魚を丸ごと買い取り、27億円を投じて建設した大阪府貝塚市の自社工場に直送して加工し、全国の店舗に配送している。

  すしネタから麺類、飲料、薬味などすべてに化学調味料、人工甘味料、合成着色料、人工保存料を使用しないなど食材にもこだわっている。田中氏には他社のすし店で食べたイカが原因でじんましんが出た経験があり、食の安全に関心を持ったことが背景にある。

  CLSA証券のアナリスト、ロバート・パーセル氏はくら寿司の最大の強みは品質の良いすしを手ごろな価格で楽しめることだと話す。くらコーポレーションの配当性向は12%と、スシローを運営するスシローグローバルホールディングスの31%を下回っており、「利益率をさらに伸ばし株主に還元していく余地がある」と指摘した。

  同氏はすし価格の引き上げについても「真剣に検討することで株主に対する姿勢を改善できる」とみる。さらに海外展開では店舗数が増大するにつれて現在の全店舗直営型の経営を維持することが難しくなるため、「フランチャイズ型に転換していけるかが鍵」との考えを示した。

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