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ウォール街が直面する現実-中国金融市場の開放は「ほふく前進」

  • 最低資本要件が高水準で、本土市場参入が法外に高くつく
  • 主要な国有銀行の経営権を中国が手放すことはない-交通銀の連平氏
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中国の習近平国家主席は先週の演説で、本土の金融業界の「開放が着実に広がっている」と明言した。

  中国ウオッチャーにとって、「着実」は要注意だ。ほぼ1年前、中国は現在45兆ドル(約5130兆円)規模に膨らんだ本土金融業界への参入障壁を減らす歴史的な計画を発表。外国企業の出資規制を緩和した。だがそのペースは、全力疾走というよりはほふく前進に近い。

China's Promise

Bloomberg Economics projects lucrative gains in market share for foreign firms

Sources: China Banking and Insurance Regulatory Commission, Asset Management Association of China, Securities Association of China, Oliver Wyman, Casey Quirk, Bloomberg Economics

  習主席は、米国との貿易戦争にもかかわらず本土市場の開放は依然として順調だと示唆する一方で、政策当局としては時間をかけて動くことを明確にした。アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)のマーク・オーステン最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「中国で公平な立場で競争できるかどうかを見極めるため、企業側は様子見姿勢だ」と述べた。

Investment Banking and Brokerages

Source: Bloomberg

  1年前の発表で最も重要な変更点は、中国の証券会社と投資信託運用会社、銀行、保険会社の過半数株を外国企業が保有することを認めたことだ。

  このうち証券会社については、UBSグループやJPモルガン・チェース、野村ホールディングスが中国での合弁会社の過半数株取得を申請するなど動きがあった。近いうちに最初の数社が承認されるかもしれない。

  一方、投資信託の分野では今のところほとんど動きが見られない。ただ、中国本土のミドルクラスが一段と豊かになり、銀行が販売し暗黙の保証があると見られている資産運用商品の取り締まりを当局が進めていることは投資信託ビジネスの追い風になるため、多くの外国企業が本土勢の株式過半数取得をいずれ申請するとアナリストらは見込んでいる。

  保険については、ブルームバーグの調べによると中国での経営権を握る出資を計画している外国企業はまだ1社もない。保険は金融セクターの中でまだ新たな規制が最終的にまとまっていない最後の分野であることがその理由かもしれない。

Investment Banking and Brokerages (cont.)

Source: Bloomberg

  
  商業銀行についても、保有比率の制限は撤廃されたが持ち分を高める意向を表明したところはない。最大手以外の金融機関にとって、中国が要件として課す最低資本が高水準で、本土市場参入が法外に高くつくことも一因だ。また、たとえ本土の小規模銀行に出資する資金があったとしても、そうした銀行の主要株は地方政府が握っており、そうした持ち分を売りたがらないのが一般的だ。

 

Mutual Fund Firms

Source: Bloomberg

Insurers

Source: Bloomberg

  交通銀行の連平チーフエコノミスト(上海在勤)は「主要な国有銀行の経営権や銀行システム全体の手綱を中国が手放すことはないだろう」と指摘。調査会社ローディアム・グループの香港在勤ディレクタ-、ローガン・ライト氏は「多くの外銀はすでに出資しており、そうした持ち分を増やすには相当の支出が求められる。今後数年以内に劇的に出資比率を引き上げようと本当に考えさせる動機があるかは分からない」と語った。

Commercial Banks

Source: Bloomberg

原題:Wall Street’s $45 Trillion China Dream Inches Toward Reality(抜粋)

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