7-9月期GDPは再びマイナス成長へ、自然災害が消費や輸出下押し

  • 多くのエコノミストは震災の影響解消で10-12月期に反動増予想
  • 米中貿易摩擦や世界経済に不透明感、回復ペースが鈍化のリスクも

7-9月期の国内総生産(GDP)は、7月の西日本豪雨や9月の北海道地震、大型台風など相次ぐ自然災害の影響を反映してマイナス成長に陥る見通し。供給制約や消費マインドの低下が、個人消費や外需の足を引っ張ったもようだ。マイナス成長となれば、大雪など天候不順で個人消費が不振だった今年1-3月期以来2四半期ぶり。

原宿の歩行者や買い物客

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

  ブルームバーグの集計では、エコノミストの9割以上は7ー9月期実質GDPのマイナス成長を予想、中央値は前期比0.3%減、年率1.0%減を見込む。災害による影響の解消が見込まれる10-12月期には反動増を予想する声は多いが、貿易摩擦や世界経済に不透明感が増しており、日本経済にも悪影響を及ぼす可能性が強まっている。

GDP成長率、潜在成長率を下回る

3年半にわたり浮上できず

出所:内閣府

背景

  • 米国の保護主義的な政策に端を発した貿易摩擦の高まりによって、世界の経済成長が今後2年間に1%押し下げられる恐れがあると国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は指摘
  • 9月の経済指標は、自然災害や海外経済の減速懸念から、市場予想を下回る統計が相次いだ。家計支出は前年比1.6%減と市場予想(1.5%増)に反して減少したほか、機械受注は前月比18.3%減と1987年の統計開始以来最大の減少率。国際収支統計でも、輸出減少により貿易黒字は3233億円と前年同期に比べて縮小した
  • 黒田東彦日銀総裁は10月31日の会見で、貿易摩擦のエスカレートが「米中のみならず世界貿易、世界経済全体に与える下方リスクに一番注目している」と説明。下方リスクが顕在化した場合、金融政策自体を調整すると発言
  • 政府は19年10月に消費税を8%から10%への引き上げる方針だが、リーマンショック級の経済危機となった場合、3度目の延期の可能性も
  • 設備投資の先行指標である日本工作機械工業会発表の10月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比1.1%減と1年11カ月ぶりの減少。外需は同2.5%減。米国と中国の貿易摩擦が影響した可能性がある

市場の見方

  • 第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト
    • 7-9月期のGDP予想を年率マイナス0.7%からマイナス0.8%に下方修正-家計調査や国際収支の下振れで
    • 10-12月期は潜在成長率を上回る成長となる可能性が高い-自然災害の悪影響が徐々に解消、生産挽回で反動増が予想される
    • 世界経済は回復を続けているという評価は変わらないが、米国以外では減速が目立つ、10-12月期の反発力が思いのほか鈍くなるリスクも
  • 三菱総合研究所の森重彰浩主任研究員
    • 7-9月期は前期比マイナス0.2%、年率マイナス0.7%、10-12月期はそれぞれプラス0.4%、プラス1.5%と予想
    • サプライチェーンの制約はほぼ7-9月期で終了、反動のプラス要因に
    • 米中貿易摩擦による両国経済の減速は、19年度に日本経済に波及へ
  • みずほ総合研究所の有田賢太郎上席主任エコノミスト
    • 7-9月期は前期比マイナス0.3%、年率マイナス1.3%、10-12月期はそれぞれプラス0.5%、プラス1.9%と予想
    • 震災影響からの回復でいったんは戻るものの、中国中心にIT需要に一服感、輸出の伸びが減速し、19年度のGDP成長率は0.6-0.7%に
  • 大和総研の山口茜研究員
    • 7-9月期は前期比マイナス0.4%、年率マイナス1.6%、10-12月期はそれぞれプラス0.7%、プラス2.8%と予想
    • 10-12月期以降は今回の一時的な自然災害によるマイナス要因も剥げ落ち、輸出も調整局面から増加基調になるとみる
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