【コラム】アイズマン氏に聞け-「合意なき離脱」ブラック・スワンか

  • アイズマン氏が英銀2行を空売りしていることが分かった
  • 離脱を巡る楽観が広がる中、アイズマン氏の介在は市場にとって有用

ニューバーガー・バーマン・グループのマネーマネジャー、スティーブ・アイズマン氏は、2007-08年に起きた住宅ローン関連証券のバブル崩壊を予想したことで、有名になった。そのようなブラック・スワン現象(確率は低いが発生すれば甚大な損害をもたらす出来事)が起こり得ると考えていた人は、当時ほとんどいなかった。

  それから10年が経過した。「合意なき英国の欧州連合(EU)離脱」で打撃を受けると考えられる英銀2行を同氏がショートにしていることが明らかになり、「世紀の空売り」と呼ばれたスターに再び注目が集まった。同氏は銀行名を明かしていない。EU離脱を選択した英国民投票以後、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)やバークレイズ、ロイズ・バンクの株価は2-18%下げたが、それでも欧州金融市場には、なお若干油断があるかもしれない。

  英国とEUとの離脱交渉を巡っては、将来の通商関係を定め、英領北アイルランドとアイルランドとの国境でのハードボーダー(物理的壁)回避の方策に答えを出す何らかの合意が成立するのではないかと、ここにきて期待が高まった。だが、希望が砕かれる可能性はある。

  英とEUが合意するだけで十分厳しいが、反抗的で扱いにくい英議会の承認を得ることは恐らく無理だと分かるだろう。それがアイズマン氏の読みだ。UBSグループのアナリストらも、英議会が離脱合意を承認しない見込みは「ゼロでない」と指摘する。

  アイズマン氏が狙いを定めることにしたのは銀行2行だが、金融業界全般への脅威も少なからず存在する。イングランド銀行(英中央銀行)は経済への打撃に対応するため、流動性の蛇口を開いたままにするよう求める圧力にさらされると予想され、合意なき離脱であれ友好的な離脱であれ、金融政策が英銀に及ぼすリスクもある。金利を引き下げれば、銀行の利ざやがいや応なしに損なわれるのは歴史の示すところだ。

  ただ、アイズマン氏がシステミックなカオス(混乱)を予測していないことは重要だ。英国の大手銀行には市場シェアを守り、貸倒損失を吸収できる備えがあり、同氏の意中にあるのは恐らく、十分な備えを持たない小規模な上場銀行だろう。はるかに憂慮すべきは、同氏が言う通り、ジェレミー・コービン党首の下で最大野党の労働党が政権を取る可能性であり、英国での昨今の政治的楽観を修正する意味で、アイズマン氏の介在は有用だ。

A Very British Problem

The performance of big U.K. bank shares versus broader European stocks since the Brexit vote

Source: Bloomberg data (as at Nov. 2, 2018)

Capital Weakness

Maximum capital depletion under the adverse scenario of Europe's latest round of stress tests

Source: UBS/EBA

(ライオネル・ローラン氏は金融・マーケットをカバーするコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:The Big Short’s Eisman Has a Point About Brexit: Lionel Laurent(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE