かわいい車なんていらない-企業は女性の視点で消費活性化狙う

  • 今のトレンドは機能重視、所得増で女性の消費は拡大の見通し
  • 増加する共働き世帯には高価格帯の時短家電が人気、ゆとり追求で

女性の社会進出が一段と進む中、女性が消費をけん引する時代に変わりつつあるようだ。女性視点に立ったマーケティングで消費拡大を狙う企業側は、働く女性のニーズや好みの変化を捉えようと試行錯誤している。

  都内IT企業で営業職として働く斎城瑠璃子さん(29)は、女性消費者を狙ったような「ラインストーンとか埋めてあるキラキラ系のものは違う」と受け止め、シンプルな製品に良さを感じ、無駄な装飾は必要ないと考える。

ダイハツの「ミラトコット」

Source: Daihatsu Motor

  女性向けの軽自動車を強みとするダイハツ工業は、2017年度末に販売が落ち込んでいた若い女性向けの軽自動車「ミラココア」の生産を打ち切った。中島雅之チーフエンジニアは、かわいらしさを強調したデザインに対し「かわいすぎて乗れない」という厳しい指摘を受け、男目線はだめだと痛切に感じたという。後継車の開発に当たり、女性だけのプロジェクトチームを創設、現代女性が求めるシンプルなモデルに刷新した。

  6月末に発売した「ミラトコット」は、月平均3000台の販売目標に対し、当初3カ月の受注台数は1万4000台と順調なスタートを切った。女性チームの提案で「わかりやすい女性らしさ」から「シンプルカジュアルやユニセックス」へと変化する女性の好みを取り入れ、デザインや設備仕様を決定した。

  三菱総合研究所の阿部淳一チーフプロデューサーは、「かわいい車なんて誰も望んでいない」と指摘。女性のニーズは急速に変わり、今のトレンドは「デザインや感性的なものよりも、実質的で機能的な価値が重視されている」と分析する。

女性の平均給与は過去最高

17年は287万円、98/00年の記録抜く

出所:国税庁・民間給与実態統計調査

  女性の所得は伸び続けている。過去20年で男性の就業者数は220万人減少したのに対し、女性の就業者数は194万人増えた。国税庁の統計によると、17年の女性の平均給与は287万円と過去最高を更新。相対的に平均給与の低い非正規雇用者数が女性で減少に転じており、今後も女性の消費を喚起する所得増は続く可能性が高い。

  女性の就業増に伴う共働き世帯の増加も消費行動に変化をもたらしている。パナソニックが30、40代夫婦を対象に実施した調査によると、共働きで経済的な余裕が生まれる中、9割以上が時間的・精神的なゆとりを求めており、高価格でも高機能で家事にかける時間を削減できる「時短家電」の需要が高まっているという。

消費を牽引する共働き世帯が増加

共働き世帯は、専業主婦世帯の2倍に

出所:厚生労働省「厚生労働白書」、内閣府「男女共同参画白書」、総務省「労働力調査特別調査」、総務省「労働力調査(詳細集計)」

  同社が創業100周年に向けて発売した食器洗い乾燥機、ロボット掃除機、斜めドラム洗濯乾燥機は、共働き世帯の救世主として販売を順調に伸ばし、新・三種の神器とも呼ばれる。藤田美穂広報課担当課長は「価格よりは利便性を取るのが共働き世帯。困り事を解決できる機能があれば、購入していただける」と話す。

パナソニックのロボット掃除機「ルーロ」

Source: Panasonic

  従来、白物家電は機能を落とした2-3番手のモデルが売れる傾向にあったが、今年の新商品は機能性が格段に上がったことで、最上位機種が売れる傾向があるという。市場価格が約15万円するロボット掃除機は目標販売台数の1.5倍、同約38万円の大容量洗濯乾燥機は、数万円安い前年モデルに比べて1.4倍の売れ行きとなっている。

  三菱総研の阿部氏は、「ステレオタイプの女性らしさから、働く女性が華麗に変身を遂げていて、企業のマーケティング担当者はその動きについて行けていない」と指摘する。甘くてデザインの良いお酒よりも、料理に合い二日酔いにならないお酒という実質的なニーズが女性の中で高まっているという傾向に触れた上で、「女性視点に立った企業側のマーケティング変革が伴えば、まだまだ消費は伸びる」との見方を示した。

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