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商社5社、軒並み過去最高益更新へ-原油ガス価格の上昇寄与 (訂正)

訂正済み
  • 伊藤忠は1433億円を損失計上-CITICの株価下落で
  • 米中貿易摩擦の世界経済への影響には各CFOとも慎重な見方

総合商社5社の2018年4-9月期決算が2日、出そろった。各社ともに原油や天然ガスなどエネルギー価格の上昇を追い風に、三井物産が今期(19年3月期)利益見通しを引き上げ、商社5社が軒並み過去最高益を予想した。三菱商事も増額修正し利益を積み上げた。

  通期利益は、三菱商が前期比14%増の6400億円、伊藤忠商事は同25%増の5000億円、三井物が同8%増の4500億円、住友商は同3.7%増の3200億円、丸紅は同8.9%増の2300億円をそれぞれ目指す。最高益達成は、三菱商と丸紅が2期連続、伊藤忠は3期連続、三井物は7期ぶりとなる。

堅調な原油市況が商社の業績を下支え

  三菱商の純利益は前年同期比22%増の3093億円と大幅に伸びた。4-6月期に続き4-9月期でも過去最高を更新した。今期に計上した大口の一過性損失があったが、液化天然ガス(LNG)事業からの受取配当金の増加やアジアでの自動車販売事業が好調だったことが寄与した。

  同社の増一行・最高財務責任者(CFO)は会見で 「550億円もの大口の一過性損失が発生したものの、事業系の稼ぐ力によってしっかりカバーした上で市況系も勢いがある決算となった」との認識を示した。

  三井物の4-9月の純利益は6.5%減の2229億円。金属資源事業で、前年同期にブラジルの資源会社再編に伴う株式評価益を計上した反動や、鉄鉱石販売価格の下落によるオーストラリア鉄鉱石事業の減益などの影響が出た。また英国発電所の売却益の反動なども響いた。

  伊藤忠は売上高が前期比2.1倍の5兆4609億円、純利益は6.4%増の2580億円となった。機械セグメントを除く、エネルギー、建設・物流など全分野で増益となった。一方で同社は、出資先の中国政府系企業、中国中信集団(CITIC)の株価が簿価水準まで下落したことを受け、短期的な回復は難しいとの経営判断から1433億円を損失計上し減損処理すると発表した。

  伊藤忠の鉢村剛CFOは、CITICの「業績自体は順調」と強調し「将来的な回収の可能性はあきらめていない」とした。一過性の損失は大きなものがあるが、実力ベースで3期連続で過去最高を更新する財務基盤を有していると語った。

  丸紅の純利益は同45%増の1520億円と過去最高を更新した。原油や天然ガスなど資源関連価格の上昇に加え、非資源分野では、紙パルプ、電力などが増益をけん引した。同社の矢部延弘CFOは企業の財務の健全性を測る指標、ネットDEレシオが、今期末には1倍を割り込んで0.9倍程度となり「丸紅の歴史で初めて資本がネット有利子負債を上回ることができる見込み」とした。

  楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは、「今期はエネルギー部門に目が行くが、過去の反省から各社は非資源関連への投資を積極的に図っている。今の大手商社は資源と非資源事業のうまい組み合わせで収益を上げる構造ができている」と評価する。一方で、「事業領域の広さから成長の先行きをつかみにくい側面もある」と指摘した。

米中貿易摩擦の影響

  商社5社の今期業績見通しは好調だが、各社に共通する懸念は、米中貿易摩擦の世界経済への影響だ。各社とも先行きには慎重な見方をしている。住友商の高畑恒一CFOは、中国の株価下落は通商問題を背景とした景気の減速懸念が先行していると述べた。

  三井物の内田貴和CFOは、貿易摩擦の拡大に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めによる新興国経済への影響も懸念材料の一つと指摘した。

【総合商社5社の業績一覧】 

会社名18年4-9月純利益19年3月期純利益予想1株利益
三菱商3,093億円(21.8%)6,400億円(14.3%)403.46円
三井物2,229億円(▲6.5%)4,500億円(7.5%)258.92円
伊藤忠2,580億円(6.4%)5,000億円(24.9%)322.55円
住友商1,793億円(15.5%)3,200億円(3.7%)256.33円
丸紅1,520億円(45 .3%)2,300億円(8.9%)130.10円

(注:カッコ内は前年同期比%、全社国際会計基準)

(3段落の三菱商増氏の引用部分と7段落の丸紅矢部氏の漢字を訂正します.)
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