トランプ大統領の攻撃からパウエル議長を守るのはウォール街か

  • 市場はこれまでのところ大統領の金融当局批判を受け流している
  • 議長解任の動きがあれば、金融市場からは手痛いしっぺ返しも

利上げを巡ってトランプ米大統領から非難の集中砲火を浴びているパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって、究極的な守護者はワシントンではなくウォール街に存在するのかもしれない。

  トランプ大統領がパウエル議長の解任に向けて本格的な動きを示せば、株価と債券相場、ドルが軒並み下落し、金融市場から手痛いしっぺ返しを食らうだろうというのが、専門家の見立てだ。

  ルートホールド・ウィーデン・キャピタル・マネジメントの最高投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は、そのような動きがあれば「信じられないような不確実性が生じるだろう」と述べ、「市場には極めて悪い反応が引き起こされる」との見方を示した。  

  利上げ批判を強めているトランプ大統領は、米金融当局を経済にとって最大の脅威と名指しするとともに、23日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューでは、パウエル議長解任を検討するかどうかの質問に対し、「分からない」と答えた。

  パウエル議長をはじめとする金融当局者は、経済にとって最善と考えることを実行し、政治の影響を受けることはないと述べ、大統領の攻撃に対応している。当局者が考える当面の最善策は漸進的な利上げの継続だ。

  投資家はこれまでのところ、大統領による金融当局批判や利上げ打ち止めの呼び掛けをおおむね受け流している。アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は「必ずしも実質的な政治的インパクトを伴わない形で、多くの人々に影響を与えようとする一定の言動や存在誇示の行動、発言などに人々は慣れてしまった。市場は現時点でそうしたものをはねつけている」と指摘した。

  しかし、トランプ大統領がパウエル議長を解任しようとあからさまな行動に出れば、全く違う事態となる。グラント・ソーントンのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は電子メールで、「パウエル議長解任に向けて一斉かつ真実味のある取り組みがあった場合、その意図せぬ結果は金融市場に極めて重大なものとなる可能性がある。われわれは未知の領域に入り、それは市場がひどく嫌う類いのものだ」と話した。

  Tロウ・プライス・アソシエーツのマルチアセット・スペシャリスト、クリストファー・ディロン氏は、トランプ大統領がパウエル議長に代えてもっとハト派的な人物を起用した場合、連邦財政赤字が1兆ドル(約112兆6000億円)に膨らむ方向にあることと合わせて、インフレ高進と債券利回り急上昇を招くリスクがあり、それはやがて株価押し下げにつながるとみている。

原題:Powell’s Most Powerful Protector From Trump May Be Wall Street(抜粋)

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