日銀会合の注目点は-リスク評価、金融システムリポートなど

  • 「世界経済の不確実性はやや高まっている」と東短リサーチ加藤氏
  • 金融機関の赤字「長引く可能性が高いことも指摘」とパリバ証・河野

The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan.d to the Topix equities index and flexibility in bond operations.

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行は31日、金融政策決定会合を開き政策運営方針を発表する。金融政策は現状維持が予想されており、最近の世界的な株安や貿易摩擦、消費増税の影響などについての黒田東彦総裁の見解が焦点となる。

  ブルームバーグが19-24日に実施した事前調査では、エコノミスト46人全員が現状維持を予想した。日銀は同時に公表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価と実質成長率の見通しを示すが、大幅な見直しは見込まれていない。ブルームバーグ調査では、物価見通しは「おおむね据え置かれる」との回答が63%だった。

  JPモルガン証券の鵜飼博史チーフエコノミストは29日付のリポートで、日銀は「さまざまなな下方リスクへの警戒を以前より高めつつも、標準的には景気の緩やかな拡大シナリオを変えないだろう」と予想した。

  決定会合では最近の世界的な株安、貿易摩擦の影響、来年10月の消費増税など、リスク要因について議論が行われる見込みだ。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストはブルームバーグ調査で、軽減税率などの対策が投入されるため、「増税後の消費の落ち込みは2014年ほどにはならない」とする一方で、「世界経済の不確実性は前回展望リポート時よりやや高まっている」とみる。

  安倍晋三首相は15日の臨時閣議で、来年10月に消費税を10%へ引き上げると表明した。黒田総裁はブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、増税の影響は前回14年の3分の1から4分の1程度に収まる可能性があると述べた。

  半年に一度の金融システムリポート(FSR)では、金融循環の拡張が続くと金融機関はバランスシート調整という下方リスクをため込む恐れがあるとの警戒感が示された。リーマン級のショックを想定したストレス試験では、地域金融機関は株式投資信託を増やしてきたため、株式関係損が「リーマンショック時よりも大きくなる」との試算も示した。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは24日付のリポートで、FSRでは、大きなショックが訪れた場合、金融機関の収益がリーマンショック後のようにV字回復することはなく、「赤字が長引く可能性が高いことも指摘している」と言及。同リポートについての黒田総裁の見解にも関心が高い。

  事情に詳しい複数の関係者によると、複数の日銀当局者から、現行の金融緩和策で操作対象とする長期金利について、多くの市場関係者が想定している上下0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている。日銀が31日夕に公表する来月の国債買い入れオペの運営方針で、何らかの変更が行われるとの見方も一部にあり、市場機能の改善策について会見でも見解を問われるとみられる。

ブルームバーグの事前調査の結果はこちら

  会合は従来、総じて正午から午後1時の間に終了している。黒田総裁は午後3時半に記者会見を行う。 

注目点
理由
展望リポート7月時点の消費者物価指数(除く生鮮食品)前年比の見通し(政策委員の中央値)は18年度1.1%上昇、増税の影響を除く19年度が1.5%上昇、20年度が1.6%上昇。今回はおおむね据え置かれるとみられる
リスク評価最近の世界的な株安、貿易摩擦の影響、来年10月の消費増税など、リスク要因について議論が行われる見込み
金融システムリポート金融循環の拡張が続くと金融機関はバランスシート調整という下方リスクをため込む恐れがあるとの見方が示された
長期金利の動向複数の日銀当局者から、現行の金融緩和策で操作対象とする長期金利について、多くの市場関係者が想定している上下0.2%を超える変動幅を許容する意見が出ている
国債買いオペ方針来月の国債買い入れオペの運営方針で何らかの変更が行われるとの見方も

前回の決定内容

  • フォワードガイダンス「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」
  • 長期金利(10年物国債金利)の誘導目標は「0%程度」、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得る
  • 短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)は「マイナス0.1%」
  • 長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどは「約80兆円」
  • 指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れは年間約6兆円、市場の状況に応じて上下に変動し得る、不動産投資信託(J-REIT)買い入れは同900億円
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