【個別銘柄】リコー、富士通、日ハムが売られる、信越化は高い

  • リコー業績予想上方修正も、売却益考慮なら実質減益-SMBC日興
  • 信越化はウエハーの需給懸念払拭でポジティブー三菱モルガン

29日の日本株市場で、株価変動材料のあった銘柄の終値は次の通り。

  リコー(7752):11%安の1070円。2019年3月期営業利益計画を800億円から850億円に上方修正したが市場予想の961億円には届かなかった。SMBC日興証券の桂竜輔アナリストはリポートで、リコーロジスティクスの売却益142億円を考えると実質92億円の下方修正だと指摘、成長に向けた費用増だが株式市場ではやや失望されるだろうとみていた。

  富士通(6702):5.4%安の6622円。決算発表を受けてJPモルガン証券の田邊純アナリストはリポートで、課題解決の結論はまだ時間を要する見込みとし、投資判断を「中立」に引き下げたほか、目標株価も従来の9200円から6200円に下げた。富士通の説明会でのメッセージは2020年3月期にかけたコア事業の収益はほぼフラットで推移するというもので、短期的なネットワーク事業の収益改善の可能性の低さや、構造改革効果の本格発現を22年3月期と同社が見ていることなどから、しばらく好材料に欠けると指摘した。7-9月営業利益157億円はコンセンサスや同証予想を下回ったとも同アナリスト。

  日本ハム(2282):4%安の3860円。上期は国産食肉の相場下落や水産部門の販売苦戦で売上高が従来予想を下回るほか、台風21号と北海道胆振東部地震の影響で棚卸資産の評価損や固定資産減損損失が発生。通期でも食肉事業が被る災害の余波など、厳しい事業環境継続が見込まれ、営業利益予想を従来の500億円から360億円に引き下げた。

  信越化学工業(4063):8%高の9130円。信越化学の第2四半期決算はコンセンサスを上回り、説明会でウエハーの需給悪化懸念が払拭(ふっしょく)されたと考えるため、ポジティブだと三菱UFJモルガン・スタンレー証券が評価した。会社側が通期営業利益計画を3600億円から3900億円に上方修正したことについて、アナリストの根本隼氏はIFISコンセンサス3962億円を下回っているが、保守的な計画でネガティブ視されないと指摘。年間配当を180円から200円に増額したのも好印象で、株主還元策として自社株買いも検討していることが決算説明会で明らかになったとも付け加えた。

  オリックス(8591):5.2%高の1806円。連結子会社で不動産業の大京に対して、株式公開買い付け(TOB)を実施し、1株当たり2970円で全株を取得、完全子会社化すると26日に発表。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の辻野菜摘シニアアナリストは26日付リポートで、完全子会社化は不動産事業分野での企業合併・買収(M&A)の意思決定をしやすくなることも踏まえ、事業拡大に向けた布石になるのはポジティブとした。また配当性向を30%に引き上げたのもポジティブとみる。大京(8840)株価はTOB価格にさや寄せする動きとなり、500円(21%)高の2896円ストップ高。

  NTTドコモ(9437):2.6%安の2812.5円。29日付の読売新聞朝刊が2019年度に携帯電話料金を下げる方向で検討と報道。ドコモは収益減を考慮し値下げ幅を検討、菅官房長官指摘の4割は難しいが利用者が恩恵を実感できる水準と同紙。減収分は金融決済事業などで補うとしている。KDDI(9433)2.5%安の2766円、ソフトバンクグループ(9984)は1.4%安の8506円。

  MonotaRO(3064):12%安の2228円。26日発表の決算で7-9月期営業利益は34億5000万円と、市場予想の36億5000万円を下回った。1-9月累計では前年同期比19%増の101億5500万円だが、通期計画142億4900万円に対する進捗(しんちょく)率は71%にとどまった。SMBC日興証券の金森都アナリストは同日のリポートで、7-9月営業利益が同証予想を下回った背景は猛暑による物流センターの作業効率悪化によるもので一過性かつサプライズはないと指摘、むしろ製造業からの売り上げが過半を占めるとして、製造業の生産活動の雲行き悪化に注意を促した。

  マネックスグループ(8698):14%安の400円。午前11時40分発表の4-9月決算は税引前利益が前年同期比39%減の18億3000万円、純利益は同13%減の17億4500万円だった。日本セグメントで委託手数料が減少し、受入手数料が同5.3%減の130億8500万円。コインチェックを連結化したことなどから、トレーディング損益が前年同期比78%増の32億900万円になった半面、販売費および一般管理費が同15%増となり、費用合計が同13%増えた。

  日立化成(4217):7.6%安の1637円。半導体向け素材の検査データを巡る不正の疑いがあるとし、日立化成が取引先に通知していたことが分かったと読売新聞が27日に報じた。パソコンや家電、自動車など幅広い製品に使われ、半導体のICチップを覆う樹脂素材で不正が行われたとしている。報道を受けて同社は、外部専門家などで構成する特別調査委員会の調査が現在継続中で、調査結果を受け次第速やかに公表するとした。

  富士通ゼネラル(6755):8%高の1600円。同社は26日の決算発表で通期経常利益と純利益の見通しをそれぞれ上方修正、いずれも前期比減益見込みが一転して増益予想となった。上半期の為替差益計上を反映、今期経常利益は190億円(前回予想180億円)、純利益は130億円(同125億円)をそれぞれ見込む。

  関西電力(9503):6.4%高の1788円。野村証券の松本繁季アナリストは28日付のリポートで、従来は「中立」としていた関西電の格付けを「買い」に格上げし、目標株価を1680円から2280円に修正した。原発再稼働による電気料金の値下げが奏功し今期の販売電力量見通しを引き上げたこと、原油価格の上昇で原発依存度の高い関西電のコスト優位性は高まっている点などを引き上げの理由に挙げている。

  クラリオン(6796):4%高の2444円。仏自動車部品メーカーのフォルシアが26日にクラリオン株のTOBを発表。1株当たり2500円、総額約1410億円で全株式を買い付ける方針。バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、TOB価格まではさや寄せする動きで今後も買いは継続するだろうとの見方を示した。64%を保有する同社の筆頭株主である日立製作所(6501)はTOBに賛同し応募すると表明。株価は0.6%安の3236円。

  明電舎(6508):6.5%安の1508円。通期営業利益計画を従来の115億円から107億円に下方修正した。EV用部品事業の好調と半導体製造装置関連の電子機器事業の低迷は事前に想定されていたが、社会インフラが想定外に下振れしたのが響いたとSMBC日興証券の吉積和孝アナリストは26日付リポートで指摘した。社会インフラの下振れについて同アナリストは「ややネガティブ」だとし、海外案件での不採算や期ズレが主因と分析。

  日本特殊陶業(5334):18%安の2153円。欧米や中国で新車販売が減速し、関連事業の見通しが期初を下回ったほか、半導体製造装置向けの需要下振れなどを背景に通期営業利益予想を従来の720億円から670億円に引き下げた。前期比では0.4%の減益見通し(従来7%増を予想)。純利益予想も従来の525億円から495億円に下方修正した。

  日本航空電子工業(6807):13%安の1362円。26日発表の決算で2019年3月期営業利益計画を200億円から192億円に下方修正、市場予想205億円。ゴールドマン・サックス証券の高山大樹アナリストらは会社側の説明会を踏まえて、自動車や中国スマホの前提、外部環境の変化に対する費用コントロールにやや楽観的な印象とリポートで指摘し、計画達成のハードルは高いとの見方を示した。同証では営業利益予想を201億円から178億円に変更。目標株価を2000円から1900円に引き下げ、投資判断は「中立」を継続した。

  バリューコマース(2491):21%安の1475円。SMBC日興証券の前田恵美・前田栄二両アナリストはリポートで、26日発表の好決算は短期的にポジティブも懸念材料があると指摘した。会社側が中長期的な成長ドライバーとして注目するCRMツール「STORE’s R∞」は7-9月売上高が前年同期比91.8%増も前四半期比では1.7%減となり、長い目でみて成長率鈍化が懸念され、10-12月以降の成長トレンドに注視する必要があると両アナリスト。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE