ブラジルは右傾化も、大統領選で極右のボルソナロ氏が勝利

  • 「憲法と民主主義、自由の擁護者になる」とボルソナロ氏
  • ボルソナロ氏勝利を市場は好感へ、民主主義の後退懸念も

28日に行われたブラジル大統領選決選投票で極右のジャイル・ボルソナロ候補が勝利したことにより、同国は政治の右傾化が進みそうだ。同候補は資源豊かなブラジル経済への民間投資促進や米国との関係強化、まん延する犯罪の積極的な取り締まりを公約している。

  元軍人のボルソナロ氏は決選投票で左派候補フェルナンド・アダジ元サンパウロ市長に勝利した。開票がほぼ全て終了した段階でのボルソナロ氏の投票率は55%と、アダジ氏の45%を大きくリードした。ブラジルでは至る所でボルソナロ氏の支持者らが旗や音楽、花火で勝利を祝った。

  ボルソナロ氏はリオデジャネイロで集まった支持者に対し、「この政権は憲法と民主主義、自由の擁護者になる」と言明し、「これは約束だ。神への誓いだ」と語った。

支持者に手を振るボルソナロ氏(28日の投票後)

フォトグラファー:Carl de Souza / AFP via Getty Images

  ほぼ30年にわたる議員経歴を持ちながらあまり知られていなかったボルソナロ氏(63)は、過激な言動で世間の耳目を集めた。同氏は暴力には暴力で対応し同国の無法状態を抑止すると公約。マイノリティーや女性への差別的発言を行ったほか、ブラジルの専制時代を懐かしみ選挙プロセス自体に疑問を呈したこともある。同氏の容赦ない政治姿勢は、ハンガリーのオルバン首相やフィリピンのドゥテルテ大統領、トランプ米大統領といったナショナリストにも通じる。

  しかし、多くの国民にとってボルソナロ氏は、低迷する経済の再生と非効率な国家の合理化を期待できる最善の希望でもある。米国のシンクタンク、インターアメリカン・ダイアログのマイケル・シフター代表は「最大のリスクは民主主義の後退だが、私は絶望してはいない。彼が経済的な出血を止めることができるチャンスがある」とコメントした。

  ボルソナロ氏は汚職を取り締まり、多数の国有企業の売却を通じて高コストの国家組織のスリム化を目指す。景気に弾みをつけるために法人・個人減税を実施し、年金や税制の構造改革を推進する方針だ。こうした公約はブラジル資産価格の上昇に寄与し、29日の東京市場ではブラジル主要株価指数に連動する上場投資信託(ETF)が一時13%上昇した。

  ボルソナロ氏が経済顧問に起用したシカゴ学派のエコノミスト、パウロ・ゲデス氏らは、輸入障壁を削減し、新たな自由貿易交渉に着手する計画を描く。同氏は28日夜、最初に遂行すべき課題は年金改革だとした上で、その次に政府資産売却を進める考えを示し、「民営化を加速させるつもりだ」と語った。

28日夜にリオデジャネイロでボルソナロ氏の勝利を祝う支持者ら

フォトグラファー:Carl de Souza / AFP via Getty Images

原題:Brazil Swings Right With Jair Bolsonaro’s Commanding Victory (2)(抜粋)

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