ファナックは今期営業予想を5.3%下方修正、中国受注高落ち込む

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  • 7-9月期売上高は6四半期ぶり低水準、中国の受注落ち込み顕著
  • 「ダンピング事実はない」と山口社長、中国の調査に協力意向

ファナックは29日、今期(2019年3月期)の連結営業計画を従来に比べ5.3%下方修正した。前期活発だったIT関係の一時的需要が見込めないほか、貿易摩擦や為替動向が不透明としている。足元では、中国での受注の落ち込みが大きい。

  発表によると、営業利益計画は従来の1594億円から前期比34%減の1509億円となり、市場予想(1960億円)を下回った。純利益(従来1452億円)は同22%減の1423億円に下方修正された。売上高(従来6374億円)は同14%減の6260億円に下方修正された。4-6月期決算の発表時には、営業利益と純利益、売上高をそれぞれ上方修正していた。

  米国と中国との貿易摩擦の長期化は、工作機械の受注に影を落とし始めており、ファナックにとっても逆風だ。同様の産業ロボットを手掛ける三菱電機や安川電機も、半導体需要減速や中国市場の弱含みを受け、通期業績予想を下方修正した。日本工作機械工業会の統計によると、9月の中国向けの受注額は前年同月比22%減と8月から連続で2桁の減少となった。

  通期業績の下方修正を受け、決算説明会前に登場した稲葉善治会長兼最高経営責任者(CEO)は「かなり大きな節目。直近で動きが出てきている」と分析。経営を10年超の長期で考える必要があり、「山に備えて準備している状況」だと話した。

IT見本市「CEATEC(シーテック)」でのファナックのブース

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  同時に発表された7-9月期の営業利益は前年同期比23%減の439億円、純利益は18%減の370億円、売上高は9.5%減の1622億円だった。売上高は6四半期ぶりの低水準となった。

  連結受注高は前期比14%減の1464億円。地域別では中国が同46%減の220億円と大きく落ち込んでいる。部門別の売上高動向は、FA(工場自動化)では中国や台湾が減速傾向の半面、国内や欧州、米州、インドは高水準で推移。ロボットは米州が設備投資の谷間のほか、中国の動きも弱い。ロボマシンは、ロボドリルの一時的需要が一段落した。

  山口賢治社長は決算説明会で、「スマホは世界的に伸びが少なくなっている」との見方を示した上で、「投資は以前ほど強くないと想定」していると話した。電気自動車(EV)向けの投資も現状は「先行しすぎている」とみているという。ただ長期的に見れば中国が成長するのは確実で、現在が「底」と分析した。

  16日に中国商務省が発表した反ダンピング調査の開始については「ダンピングの事実はないと理解している」と発言し、中国の調査に協力すると述べた。業績への影響は未定という。

  上期末に1株当たり598.19円(うち特別配当345.32円)の配当を実施するとも発表。同社の株主還元方針に基づく措置で、今回は自社株買いに代えて特別配当として還元する。前年同期実績は265.45円だった。

  ファナックは工作機械などに組み込む数値制御(NC)装置で世界シェアトップ。NC装置を中心としたFA部門と産業用ロボット部門が売上高の6割以上を占め、主力部門は世界のスマートフォンや自動車の生産動向の影響を受けやすい。

  ファナックの製品には海外からも強い関心が寄せられており、インドのモディ首相は28日午後、安倍晋三首相とともに山梨県忍野村にあるファナックの本社工場を見学した。外務省によれば、稲葉会長が工場の概要やロボット商品を説明した。

(山口賢治社長の発言を追記します.)
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