中国メディア「2つの揺るがず」、民間セクター巡る不安の裏返しか

  • この表現は国有企業だけでなく民間企業への揺るぎない支援を意味
  • 国家管理と市場原理は両立できるか-中国では政治的に敏感な問題

中国国営メディアは当局の不安を映す鏡としての役割を担うことがある。同メディアがうまくいっていると伝えていることが最大の懸念材料である場合もある。

  中国共産党は今週に入り、「2つの揺るがず」へのコミットメントを訴えるプロパガンダを相次いで流した。習近平国家主席が起業家に今週宛てた書簡で、このフレーズを使ったことで知られるようになった。この表現は国有企業のみならず民間企業への支援がいささかも揺らいでいないことを意味する。党機関紙・人民日報や光明日報、学習時報などはこの数日でいずれも「2つの揺るがず」に言及している。

  中国政府は債務拡大に伴うシステミックリスク抑制などに向けた取り組みを進めており、民間企業はその影響に苦しんでいるとの懸念が広がっている。習主席は国有企業への支援も表明しており、中国の景気減速が深刻化しても25兆ドル(約2800兆円)規模の国有セクターは比較的堅調に推移するとの見方が根強い。

  中国では国家管理と市場原理のバランスが1949年の中華人民共和国建国当時から政治的に敏感な問題となってきた。だが、鄧小平氏が40年前に「中国の特色ある社会主義」を打ち出して市場を受け入れる姿勢に転じ、その後も江沢民氏が「3つの代表」思想で資本家の入党を認めた。

  世界金融危機発生時は、当時の胡錦濤国家主席と温家宝首相が6000億ドル規模の景気対策を主要国有企業を通じて実施したため、「国進民退」だとの主張が出て政府も反論せざるを得なかった。

  その答えが「2つの揺るがず」だった。つまり、国家管理と市場原理は両立できるということだ。

  習主席は先月の国有産業の視察時にもこの表現を使った。同氏が2000年代の地方勤務時代に出世街道を歩んでいた際、中国指導部は市場改革をより強く押し進めるべきか、後退させるべきか盛んに議論していた。習氏は「2つの手」という持論を展開し、アダム・スミスの「見えざる手」は国家の手と共存できると説明した。

  中国政府が今なお揺るぎない支援を表明して民間企業を安心させようとしている事実は、世界2位の経済大国の中心でまだ解決していない政治的な問題があることを浮き彫りにした。

原題:China’s Talk of ‘Two Unwaverings’ Reveals Private Sector Fears(抜粋)

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