安倍首相と習主席が会談、新たな日中関係構築で一致 (3)

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  • 首脳間の信頼関係強化に向け習主席の来年の訪日で調整
  • 通貨スワップ再開、証券分野の協力など経済・安保で連携強化へ

中国を公式訪問中の安倍晋三首相は26日午後、北京で習近平国家主席と会談し、競争から協調へと新たな日中関係を築いて行くことで一致した。首脳間の信頼関係強化のため安倍首相は習主席の来年の訪日を要請、両国政府が実現に向け調整する。これに先立つ李克強首相との会談では、日本円と人民元を互いに融通する「通貨交換(スワップ)協定」の再開など金融面の連携をはじめ、経済や安全保障といった様々な分野での連携強化で合意した。

  首相と習氏は9月のロシア・ウラジオストクの続いての会談。中国側とは、来年同国で日中韓サミットを開催し再び安倍首相が訪中することも申し合わせており、首脳の定期的な往来で関係改善をさらに加速させたい考えだ。

  会談に同席した西村康稔官房副長官によると、習主席は会談で日中関係は共に努力し正常軌道に戻ったと認識を示し、両首脳は新たな日中関係を構築する方針で一致。習主席は来年の訪日を「真剣に検討する」と述べた。

北京・人民大会堂での歓迎式典に臨む安倍首相と李・中国首相(26日)

Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg

  安倍首相は李首相との共同記者発表で、「日中両国の関係を大きく前進させたい」とした上で、「隣国同士、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない。明確な原則を確認した」と言明。「国際スタンダードの上にビジネス、金融、イノベーション、知的財産など様々な分野で両国の協力関係を深化させていく」との決意も示した。李首相は「中日関係を正常な道に戻すため日本と協力し、安定的かつ持続的で健全な発展を維持し、新たな進展を実現する」と表明。さらに東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協議を加速することなどで合意したことを明らかにした。

  日中通貨スワップはアジア通貨危機後の2002年に開始したが、尖閣諸島を巡る両国関係の悪化を受け13年に失効した。失効前は引き出し限度額が3000億円規模だったが、今回10倍超の3兆4000億円に拡大した。また、両政府は両国の投資家の投資機会拡大や金融市場活性化のため証券市場分野の協力を強化するための覚書にも署名した。上場投資信託(ETF)を互いの証券取引所で上場させることなどを目指す。

  首脳会談に合わせて開催された「日中第三国市場協力フォーラム」では、第三国でのインフラ投資などについて両国の民間企業・団体の間で52件の協力案件を決めた。

安倍首相と習主席

Markets: Asia." (Source: Bloomberg)

  両政府が安倍首相訪中に伴い、発表した主な署名文書は以下の通り。

  • 人民元クリアリング銀行設置に当たり、情報交換等を目的とする日銀と中国人民銀との覚書
  • 日本の認定事業者制度と中国の企業信用管理制度の相互承認に関する税務当局間の取り決め
  • 日中間の高齢者介護・保健分野における協力強化の行動計画
  • 海上における捜索と救助についての協力に関する協定
  • 先進技術と知的財産保護に関する「日中イノベーション協力対話」新設
  • 製造業や情報産業の交流や協力に関する「日中産業大臣対話」設立

習主席の来日

  今年5月の李首相の訪日、今回の安倍首相による訪中が実現したことで、両国は今後、習主席の訪日に向けた調整を進める。安倍首相は共同記者発表で、習主席の訪日実現で「日中友好の流れにさらに弾みをつけていきたい」と語った。李氏との会談では、東シナ海で発生する海難事故に協力して対処することや防衛当局間のホットライン開設に取り組むことなどでも一致したという。

  ただ、共同記者発表では、両国の関係悪化の原因だった尖閣諸島を巡り、両首脳から目立った発言はなかった。さらに、西村官房副長官によると、会談で中国側に対し、人権と知的財産を巡る対応で改善の必要性を指摘する場面もあった。

  東京大学の高原明生教授は英語のインタビューで、尖閣など日中間に横たわる難題は「残されたままになるだろう」と指摘。今後については、少なくとも習主席の訪日が予想される来年6月の大阪市での20カ国・地域(G20)首脳会議までは友好ムードが続くとみるが、中国共産党は日本を叩くための「歴史カードを常にポケットに入れている」とし、必要とみたら取り出してくるとの見方を示した。

(習主席との会談部分を追加して更新しました.)
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