モルガン・スタンレーと解雇ブローカーの争い、「顧客は誰のもの」論争の典型

  • ブローカー解雇理由の開示は証券会社側の「最新の武器」-弁護士
  • 証券会社を相手取り主張が認められるブローカーは極めて少数
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

デール・セバート氏はモルガン・スタンレー・スミスバーニーで4億ドル(現行レートで約450億円)余りを運用していたが、解雇された。そればかりではない。モルガン・スタンレーはセバート氏が複数の顧客から苦情を受けたり、許可なく副業を持ったりしたと、オンラインで公開されている同氏の職歴書に記載した。

  セバート氏は会社側の主張は虚偽だと訴え仲裁を求めた。仲裁者は最終的に、会社による同氏の調査には不備があり、会社は同氏顧客とのコミュニケーションにおいて「甚だしく怠慢」で「悪意」があった可能性すらあり、同氏の職務記録に不正確な情報を掲載したと判断した。

  セバート氏は、評判を傷つけるような開示情報を消去するよう元雇用主に要求した数少ないブローカーの1人。そして主張が認められたのはさらに少人数だ。

  同氏の体験は、本来は投資家を助けるためにあるブローカーの公開記録の中に、評判をおとしめるような虚偽情報が混じっている可能性があることを浮き彫りにした。モルガン・スタンレーは2016年の仲裁結果について、「今回のケースでパネルの決定には同意しかねる。特に、セバート氏の解雇につながった当社の内部調査は質が高く徹底したものだったと主張する」と書面でコメントした。ブローカーの職務記録の利用を巡るより広範なコメントは控えた。

  証券会社はブローカーを解雇した理由を開示することを義務付けられており、このデータは「ブローカーチェック」というウェブサイトで投資家も閲覧でき、問題のあるブローカーを避ける一助となる。

  しかし、一部のブローカーとその弁護士らは、証券会社がこの情報開示を利用して、退社するブローカーの評判を不当におとしめることで顧客ごと他社に流出するのを防ごうとする可能性を指摘する。結局、顧客は証券会社のものなのか、ブローカー個人のものなのかという昔からの論争に帰結する。

  ブローカーらの代理人を務める弁護士のシャロン・アッシュ氏は、ブローカー解雇理由の開示は証券会社側の「最新の武器だ」と述べた。

  証券会社側の情報に抗議したいブローカーは業界団体の米金融取引業規制機構(FINRA)による仲裁を求める。ダイナミック・セキュリティーズ・アナリティクスの調査によると、FINRAの仲裁人は16年から今年1-3月期の間に少なくとも82件を扱った。同期間には約300件の申請があったが、大半は取り下げられたり当事者間で解決されたりしたとFINRAのデータが示唆している。

For Brokers, Arbitration Wins Rarely Come With Damages

Brokers who claimed they'd been fired over trumped-up allegations were the subject of 82 Finra arbitration decisions between 2016 and March 2018. Here's what the panels said about firms' claimed causes for dismissals.

Source: Dynamic Securities Analytics

原題:Morgan Stanley Fight Exposes How Firms Smear Exiting Brokers (1)(抜粋)

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