ゴールドマンとフェイスブック経て転職SNS運営、Wantedlyの仲氏

  • 20代半ばで創業のウォンテッドリー、東証マザーズに昨年上場
  • 今後10年で海外含め月間利用者を1億人に-世界での認知度アップ

ゴールドマン・サックス証券に勤務後、フェイスブック日本オフィスでの経験を転職仲介のソーシャルネットワークサービス(SNS)創業に生かした仲暁子氏。20代半ばで設立したWANTEDLY(ウォンテッドリー)を東証マザーズに昨年上場させた同氏は、同SNSをフェイスブックやツイッターのような世界で認知されるサービスにすることを目指している。

  仲氏(34)が始めた同SNSは、報酬や福利厚生を強調する通常の就職・転職サイトと異なり、「仕事のミッションやビジョン」に「共感」する人を仲介するとして、企業側に給料などの条件を掲載させる欄がない。最高経営責任者(CEO)である同氏は国内の月間利用者数を向こう10年で現在の約240万人から1000万人に増やし、海外含めて1億人にすることで、世界での存在感を高めようとしている。

仲・ウォンテッドリーCEO

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  ウォンテッドリーがメインターゲットとする1980年から2000年代前後までに生まれたミレニアル世代の1人でもある仲氏はインタビューで、「誰もが知っている一流企業だけがいいという考え方が崩れている」と話した。「20代、30代の人は金銭だけでなく、モチベーション報酬を重視し、成長できる機会を求めている」とし、そうした考え方は社会の働き方に「良い変化を起こす」とみている。

  同氏のビジョンを株式市場は受け入れたようだ。昨年9月に新規上場したウォンテッドリーの株価は同年10月に公開価格(1000円)の約8倍超まで上昇。その後は1対2の株式分割を行い、今月24日の終値は2704円で、時価総額は250億円前後。

  同社上場前から出資しているDeNA共同創業者(現顧問)で投資家の川田尚吾氏は、仲氏を「非常にクリエイティブ」と評価。同氏が持ってきたアイデアへの投資を2回断ったが、3回目は即決した理由について「全く違うモデルを作ってきて、それが今のウォンテッドリーだった」と振り返る。今後の成功の鍵の一つは海外展開とみる川田氏は時価総額1000億円を目指してほしいとし、「達成すればスタートアップの中で突き抜けた存在になれる」と語った。

  仲氏の原点は創作にある。研究者の両親は自宅にテレビゲームを置かず、子供時代の仲氏は色鉛筆やガムテープなどで「創作するしか遊びはなかった」と話す。京都大学の在学中は、近隣の飲食店に広告スペースを販売する飲食割引券付きのフリーペーパーを創刊。卒業後はゴールドマンで日本株営業を2年間務めた。その時に学んだのは「何かをお願いされたらそれを上回る期待値で返すという、アウトプットの高さ。これが自分の基礎となり、その後の仕事がやりやすくなった」という。

  リーマンショックを経てゴールドマンを退社すると、仲氏はいったん「好きな絵を描くことを仕事に」と漫画家を目指した。しかし、物語や構成、キャラクターを設定する力が必要だと自覚、「絵がうまいだけではなれない」と悟ると、カントリーマネジャーから誘われたフェイスブックで日本版サービスの初期メンバーとして尽力した。そこでインターネットの力に目覚めたことが、ウォンテッドリー創業につながっている。

  18年8月期営業利益はその前の期比2.8倍の1億8100万円で、今期計画は前期比82%増の3億3000万円。同月末時点で登録企業数は約2万8800社と、1年間で4430社増加した。月間利用者数は17年5月末の約150万人から現在までに100万人近く増えた。

  ビジネス拡大に向け、ウォンテッドリーは国内では地方企業の開拓で地方銀行との連携を進める方針で、すでに京都銀行と業務提携を締結。海外では、香港やシンガポール、ドイツに拠点を置く。仲氏は次の進出先として「アジア・オセアニア」を中心とする方針を示したが、具体的な国名や拡大の手法については言及しなかった。

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