安倍首相が訪中、習主席と首脳会談へ-7年ぶり公式訪問

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  • 通貨交換協定の再開を最終決定、インフラ投資でも協力
  • 連携行き過ぎなら日米関係に影響の可能性も-みずほ・高田氏

安倍首相

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

安倍晋三首相は25日から中国を公式訪問する。米中の貿易摩擦が激化する中で、尖閣諸島などを巡って冷え込んでいた日本との関係改善に意欲的な中国側に応じ、経済面を中心に日中間の連携強化を図る。

  3日間の日程で北京に滞在し、習近平国家主席、李克強首相と26日に会談する。金融危機時に互いの通貨を融通し合う「通貨交換(スワップ)協定」の再開を最終決定するほか、第三国市場でのインフラ投資協力に関するフォーラムも開催。経済界から約500人も同時期に訪中し、両国企業による数十件の協力案件の署名式も予定している。

2014年から18年の日中首脳会談

Kim Kyung-Hoon/AP Photo, Bernd von Jutrczenka/AP Photo, The Asahi Shimbun/Getty Images, JIJI PRESS/AFP/Gettey Images

  日中平和友好条約締結から40周年にあたる今年、改善にまず動いたのは中国側だ。5月には李首相が来日。安倍首相と第三国へのインフラ整備や金融など経済協力の拡大で合意した。日本の金融機関などが人民元で中国本土の証券に投資できるようにする「人民元適格国外機関投資家」(RQFII)の枠を2000億元付与する方針も発表した。

  安倍首相は24日、国会での演説で、約7年ぶりの公式訪問となる今回の訪中に関連し、「首脳間の往来を重ねる」と同時に、ビジネスなどあらゆるレベルでの交流を強化して「日中関係を新たな段階へと押し上げる」と強調した。中国商務省の高峰報道官は先週の会見で、日中の経済関係の進展は双方の政治的信頼を支える重要な要素であるとの認識を示した。

  みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは、中国は米国との貿易摩擦に加え、ドイツでも自国企業買収への懸念が広がるなど欧州との対立も表面化しており、「日本しかない」状況に追い込まれていると指摘。日本側にとって中国との関係正常化に向け久しぶりの好機であり、米国との関係を保つことができれば世界中で「いいとこどり」ができる環境になっているとの見方を示す。

  ただ、経済面での連携が「あまり先に行き過ぎる」と中国との対立を深める米国との関係に影響を及ぼす可能性があると強調。米中どちらとの関係を重視するかを「迫られるリスクがある」とし、日本が「良い立ち位置を工夫することが問われてくる」とも語った。

一帯一路

  自民・公明両党と中国共産党との定期対話「日中与党交流協議会」も、ここ1年余りの間に3回開催された。自民党の小泉龍司国際局長は昨年夏以降、経済協力をてこにした関係改善に向けた中国側の強い意欲を実感していると話した。中国側からは広域経済圏構想「一帯一路」に関連した事業へ日本企業の進出を求める声が「急速に」高まっていると言う。

  経済面でも両国間の溝はなおある。日本は中国の知的財産権侵害に関して日本は米欧と歩調を合わせ懸念を表明。世耕弘成経済産業相は先月、ニューヨークで米欧と「三極貿易相会合」を開き、中国を念頭に世界貿易機関(WTO)の監視機能を強める改革案の共同提案で合意した。

  元外交官で立命館大学の宮家邦彦客員教授は、日中の接近について、米国との関係悪化で「背に腹はかえられず、中国がついにカードを切った」と分析。中国側は「日本を少しでも取り込んで経済投資を確保した上で、できれば日米にくさびを打ちたい」との見方を示した。

安全保障上の「強い懸念」

  日本政府は17日、中国海警局の船4隻が尖閣諸島周辺の領海に侵入したと発表。海上保安庁によると、10月に入って中国の公船のべ51隻(22日現在)が接続水域内で確認されている。日本は2018年版の防衛白書で中国を「安全保障上の強い懸念」と位置付けた。

  宮家氏は、東シナ海や南シナ海を巡る中国の対応について「戦略的な政策変更をする気はない」として、首脳往来が実現しても政治問題も含めた「日中関係が完全に回復したとは誰も思わないし、思うべきではない」と指摘した。

  国民民主党の玉木雄一郎代表は、隣国である以上は「一定の摩擦、緊張は避けられない」との見方を示した。超党派の「日中次世代交流委員会」で13年から毎年訪中している公明党の遠山清彦幹事長代理は習主席の2期目の任期は23年まで、安倍首相も自民党総裁として最大で21年まで任期を残していることから、「お互い長期安定政権であるときに両国関係の基礎部分を強固にする」ことが重要だと話した。

(第4段落を更新します.)
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