サウジ投資に世論反発の恐れ-皇太子自身が最大のリスクとの見方も

  • カショギ氏の失踪を巡り皇太子に必然的に疑惑の目が向けられた
  • 皇太子が投資誘致に動いたビジネスリーダーらも距離を置き始めた
Mohammed bin Salman Photographer: Luke MacGregor/Bloomberg
Photographer: Luke MacGregor/Bloomberg

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、「もはや石油に依存しないサウジ経済」というビジョン(構想)を世界に売り込んだ人物だった。

  ところが今や皇太子自身が、自らが推進するプロジェクトにとって最大のリスクになる恐れが出てきた。サウジの反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が、10月2日にイスタンブールのサウジ総領事館に入ったまま出てこないという出来事から全てが変わった。リヤドから送り込まれた暗殺団によって同氏が殺害されたという観測が瞬く間に広がり、サウジの実質的な支配者である33歳の王位継承者、ムハンマド皇太子に必然的に疑惑の目が向けられた。

  ムハンマド皇太子は、カショギ氏がどうなったか知らないと主張。皇太子を擁護する人々の中でも、とりわけトランプ米大統領の存在は大きく、大統領と外交チームのトップは、何十年も続く米国とサウジとの同盟関係が脅かされると警告した。だがこれは、米議会で共和党議員も皇太子を個人的に非難し、制裁を科すよう求めるなど、激しい糾弾の声が湧き上がる状況とは対照的だ。

  ムハンマド皇太子の経済プランにとって重大なのは、皇太子が投資誘致に動いてきた世界のビジネスリーダーらが距離を置き始めていることだ。米銀JPモルガン・チェースや米自動車メーカーのフォード・モーター、ウーバー・テクノロジーズなどの経営トップおよび政策担当者の多くが、サウジで来週開かれる投資フォーラムへの出席を相次いで取りやめた。自国の将来を外国からの投資拡大に託す指導者には不吉な前兆だ。

  ムハンマド氏が皇太子として実権を握った後、海外のビジネスリーダーを十分不安にさせる出来事が、カショギ氏の事件の前にも内外で起きた。汚職取り締まりの名目で著名な国内の企業家が何十人も拘束される一方、対外的にはカタールに経済封鎖を科し、ドイツなどとの外交的対立で商取引が危険にさらされた。

  ブルームバーグ・エコノミクスの中東担当チーフエコノミスト、ジアド・ダウド氏は、海外からの投資が直面する新たなリスクについて、サウジ国内のパートナーが新たな汚職取り締まりに巻き込まれる可能性などに言及。さらに「カショギ氏の失踪を巡る疑惑が事実であることが判明すれば、サウジに投資する企業は、世論の反発にさらされかねない」と指摘した。

原題:Suddenly Toxic, Saudi Prince Is Shunned by Investors He Courted(抜粋)

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