Photographer: Akio Kon

9月貿易収支は3カ月ぶり黒字転換、輸出は22カ月ぶり減少

更新日時
  • 貿易収支は1396億円の黒字、輸入の増加幅が縮小
  • 輸出は前年比1.2%減、自動車・通信機が減少
Photographer: Akio Kon

輸出から輸入を差し引いた日本の貿易収支は9月速報で3カ月ぶりに黒字となった。輸出は自動車・通信機が停滞したため22カ月ぶりに減少。財務省が18日発表した。

キーポイント

  • 貿易収支は1396億円の黒字(ブルームバーグ調査の予想中央値は451億円の赤字)-前月は4384億円の赤字
  • 輸出は前年比1.2%減(予想は2.1%増)の6兆7266億円と2016年11月以来22カ月ぶりの減少-前月は6.6%増
    • 輸出数量指数は4.8%減と7カ月ぶりの減少
  • 輸入は7%増(予想は13.7%増)の6兆5871億円と6カ月連続の増加-前月は15.3%増



背景

  米国の保護主義的な政策に端を発した貿易摩擦の高まりにより、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は12日、世界の経済成長が今後2年間に1%押し下げられる恐れがあると指摘した。

  米国は9月、中国製品約2000億ドル(約22兆5000億円)相当への10%の追加関税を発動。一方、中国は米国製品600億ドル相当に関税を課す報復措置を取った。

  保護主義に走る米国との妥協点を探る中、先月の日米首脳会談では物品貿易協定(TAG)交渉を新たに開始することで合意した。交渉中は、日本経済最大の懸念事項となっていた日本車への追加関税の適用回避が約束された。ただ原材料高や自然災害による悪影響は避けられず、9月の日銀短観で大企業・製造業の景況感は9年半ぶりに3期連続で悪化した。

  政府は9月の月例経済報告で、国内景気は「緩やかに回復している」との判断を維持したものの、「通商問題の動向が世界経済に与える影響」のほか、「相次ぐ自然災害の経済に与える影響」に留意する必要があるとの見方を示した。

エコノミストの見方

  • SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストはリポートで、輸出の減少は自然災害による供給制約と欧州の燃費規制強化に関連した特殊要因が理由と分析。今後の懸念材料として、新興国経済の減速と米中貿易戦争の悪影響を挙げ、「貿易黒字は小幅にとどまろう」と予想した。
  • 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストはリポートで、輸出は鈍化傾向にあるものの、減少傾向に入ってしまったとは考えにくいと指摘。中国の景気対策の効果顕在化により、「目先の輸出はやや持ち直す」とみている。

詳細

  • 台風21号や北海道地震が生産や物流に影響与えた可能性ー財務省の担当者
  • 輸出減は欧州向け自動車、豪州向け2500CC超自動車、中国向け携帯電話部分品
  • 輸入増はサウジアラビアからの原粗油、豪州からLNG、韓国からのナフサ
  • 対米貿易収支は4%減の5903億円の黒字、3カ月連続減少
    • 鉄鋼輸出数量は5か月連続、自動車輸出数量は4か月連続減少
  • 空港施設が浸水した関空の輸出額は前年比58.0%減の2336億円、輸入額は70.8%減の1061億円
  • 中国向け輸出は、春節の影響を除くと16年10月以来の減少-半導体等電子部品、通信機が減少
  • 18年度上期の貿易収支は88.1%減の2220億円、6期連続の黒字
(エコノミストコメントを差し替え、詳細を追加しました.)
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