イタリア連立政権、19年度予算案を承認-欧州委が審査へ

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  • EU財政ルールを巡り欧州委員会と対立する恐れがある
  • 19年財政赤字GDP比2.4%の協議、欧州委と継続すると財務相

イタリア連立政権は15日夜の閣議で、2019年度予算案を承認した。財政負担の大きい選挙公約の実行に向けたものだが、欧州連合(EU)財政ルールを巡りEUの行政執行機関である欧州委員会と対立する恐れがある。

  議会が同予算案を承認後、イタリア財務省は欧州委の審査を受けるため、同案を送付する。コンテ首相は15日深夜までに送付されるだろうと述べた。欧州委は1週間で最初の評価を終える予定。イタリア国債の売却を招いた先のイタリア財政計画に対して警告している欧州委は、ポピュリストの一段の反発を呼ばないよう配慮しつつ財政ルールの施行を目指す。

  この日の昼間の会合や夜の閣議は、右派政党「同盟」の書記長を務めるサルビーニ副首相兼内相と、反エスタブリッシュメント(既存勢力)政党「五つ星運動」の党首であるディマイオ副首相兼経済発展相の選挙公約の食い違いで難航したが、その後、合意に達した。

  サルビーニ副首相はコンテ首相、ディマイオ副首相、トリア財務相と共に記者会見し、「この予算はイエス・キリストがパンと魚を増やしたように奇跡を起こすものではないが、多くの若者に雇用の機会を与える」と発言。「政権発足後137日目になって、ようやく満足行く結果を残せたと思う」と語った。

  議会には19年度予算案のほか、サルビーニ、ディマイオ両副首相が対立した租税恩赦など財政措置の行政命令も提出される。

  トリア財務相は記者会見で、イタリアの低迷する景気を押し上げるために19年の単年度財政赤字目標を国内総生産(GDP)比2.4%に引き上げるイタリアの財政計画について、欧州委と「協議を継続」する見通しだと説明。この目標値は前政権が掲げた数字(GDP比0.8%)を大きく上回るものの、国内経済の成長鈍化のため財政赤字の同比率は既に2.0%に向かっているとした。

  同財務相は、「イタリアの赤字は西側民主主義国では普通であり、とんでもない値ではない」と言明。また、議会が予算を承認したら辞任するとの報道を否定した。

  ディマイオ副首相は、選挙公約の柱だった貧困層のための最低所得保障は来年1-3月(第1四半期)に導入されると述べた。また予算では、過去の政権が推し進めてきた退職年齢引き上げを逆行させる措置も可能にするとした。これら2つの政策は他のユーロ圏諸国や欧州委の反発を招いていた。

  イタリア財政の悪化が深刻化するリスクがあると欧州委が判断した場合、1週間以内にイタリア政府に警告を発し、2週間以内に予算修正を求める見解を公表しなければならない。この場合、イタリアは予算案の再提出が必要になる。EU当局者はこの段階でイタリア政府がEU側との協議に前向きになり、予算案を修正することを期待している。投資家がイタリアとEUの対立にどう反応するかや、イタリア政府が市場の圧力にどう対応するかも結果を左右しそうだ。

原題:Italian Coalition Reaches Agreement on Budget, Tax Measures(抜粋)

(首相や副首相、財務相らのコメントを追加して更新します.)
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