東京海上H社長:債券委託5000億円増へ、年率7%台の米子会社へ

更新日時
  • 米デルファイは債権運用に強み、社債や証券化商品など銘柄選択
  • TMHCC前社長を招き海外事業を強化、アジアなど新興国に展開

東京海上ホールディングスは、2012年に買収した米保険会社デルファイに運用委託するグループ資産を現在の約8600億円(77億ドル)から、18年度中に5000億円増やす計画だ。債券運用に強い米子会社を活用し、リターンの拡大を目指す。

東京海上ホールディングスの永野毅社長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  永野毅社長は、インタビューでデルファイは「債券運用が得意。満期保有を前提にどういう債券を買うか、どういうタイミングで買うかというところにノウハウがある」と評価、「市場平均が2.5%程度だとすると7%台で運用している」と話す。現在の委託額は東京海上HDの総資産の約4%にとどまり、「まだまだ小さなポーションだ」として、「東京海上日動あんしん生命の資産を中心に増やせる」とみている。

  永野氏は「能力のある特に若い社員を交代で一定期間送り込み育ててもらう」と、運用人材の育成にも期待している。デルファイのドナルド・シャーマン社長は、16年に東京海上HDの執行役員、今年4月には常務執行役員に就任し藤田裕一専務執行役員とともにグループの資産運用を統括している

  米国債券運用の指標の一つであるブルームバーグ・バークレイズ米国総合債券指数では、17年までの5年間の平均リターンは年率2.45%なのに対し、同期間のデルファイは7.51%。銘柄選択に力を入れ、米金融商品の中でも地方債や社債、証券化商品、商業用不動産ローンなど相対的に割安で利回りに魅力がある商品に投資。市場が急落しても投げ売りせずに、金利が受け取れ安定的に高い利回りを実現しているという。

  東京海上HDでは、傘下各社のネットワークや専門性、財務基盤を活用した「グループ一体経営」を掲げて、税引き後利益で年間2億1000万ドル(約240億円)のシナジー効果があった。この半分弱が資産運用で、主にデルファイへの運用委託だ。14年7月の米フィラデルフィアを皮切りに、米TMHCC、東京海上日動火災保険、東京海上日動あんしん生命保険などに加え、今年8月からは日新火災海上保険もデルファイへの委託を開始した。

アジア展開

  また、東京海上HDは海外事業を一段と強化する方針。9月1日付でTMHCC前最高経営責任者(CEO)のクリストファー・ウィリアムズ氏を常務執行役員に招き、小宮暁専務執行役員と海外事業を共同で統括する体制に変更した。ウィリアムズ氏は欧州、アフリカ、オセアニア、再保険事業のほか、企業合併・買収(M&A)などの海外事業戦略を担当する。永野氏は、人材育成や各地で成功しているビジネスモデルの展開、M&A、情報収集などを期待している。

  海外事業を強化する背景には、リスクの分散がある。自然災害による影響は年々増しており地震、風水害と災害大国の日本だけでビジネスをやっていると「事業の安定性が確保できない」と永野氏は指摘。海外では従来の米欧に加えて「アジアを中心とする新興国のビジネスを増やしていきたい」と言う。事業の分散では、生命保険、企業保険、傷害保険などで「自然災害のエクスポージャーを被らない保険」の引き受けを拡大させる。

  M&Aについては、インドネシア、タイ、インド、マレーシア、フィリピンなどを中心に「アジアは仕掛けている案件がいくつかあるので進めている」と話す。欧米では大型買収を重ねてきたが、「大きかろうが小さかろうが、価値に見合った価格で買えるチャンスがあれば行く」との考えだ。

(第3段落にデルファイ社長に関する記述を追加します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE