【コラム】米国株急落の考え方、将来を示唆する5要素

3-4%に達した10日の米主要株価指数の下落は、ここ数年の米市場の低ボラティリティーに慣れきった投資家を動揺させている。ただ、それ以上に憂慮すべきことは、市場の各セグメント域内および横断的に、株価急落に対する従来型ヘッジの大半がうまく機能しなかったことだ。
 
  もっとも、今後を示唆する次の5つの要素を踏まえれば、今回の展開はそれほど驚くことでもなかろう。

1.中央銀行によるサポートはいわゆる「フェド・プット」も含め、何年も当然のように思われてきたが、株式および債券市場は今、流動性供給が資産価格を支える世界を離れ、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)がより重要な役割を果たす方向へと向かいつつある。これはほぼ当然、不安定なプロセスだ。航空機が高高度を飛行中にエンジンを切り替える状況を考えてみてほしい。機体が激しい揺れに襲われることは想像に難くない。

2.先進諸国における経済状況と政策の異例な乖離(かいり)が、流動性からファンダメンタルズへの市場の移行を複雑なものにしている。家計収入の増加や企業の投資拡大、政府歳出の増加に刺激された米国の経済成長率は他国を上回る。米当局は量的緩和(QE)を終了し、政策金利を8回引き上げ、バランスシート縮小のスケジュールを公表し、今年と来年にさらに利上げに踏み切る姿勢を示すなど金融政策の正常化で他を大きく引き離している。

3.結果として生じている資産価格のばらつきが市場に余計な緊張を幾分もたらしている。そして、それは厳密に言えば乖離の問題ではない。他国がより高い成長を実現していずれ米国に追いつくのか、あるいは米国が引きずり下ろされるのかという点でさまざまな見方がある。

4.通商摩擦が市場の移行を巡る不透明感を増幅させている。中国が自国の発展に一番ましな選択肢は他国(韓国やメキシコ、カナダ)が最終的に選んだのと同じ道、つまり米国への譲歩なのだと気付くのに、どれだけ時間がかかるのか明確ではない。また、どんな譲歩ならトランプ政権が満足するのかも分からない。

5.市場におけるテクニカルな条件も、短期的に大きな変動を和らげるというより増幅させており、助けになっていない。

  より長い期間をみれば、現在進行中の流動性からファンダメンタルズへの移行が成功することによって市場の基盤は一段と強固になる。再評価も伝統的な株式と債券の分散投資を通じ、より良いリスク緩和をもたらすだろう。しかしながら短期では、極めて不安定になる公算が大きい。

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)

原題:How to Think About the U.S. Market Sell-Off: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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