金融ショックのリスク、投資家は過小評価-IMF金融安定報告

Photographer: Alex Wroblewski/Bloomberg
Photographer: Alex Wroblewski/Bloomberg

金融環境が急激に引き締まり、世界経済に衝撃を与えるリスクは投資家に無視されている恐れがあると国際通貨基金(IMF)が警告した。

  IMFは10日公表した最新の金融安定報告で、「資産価格評価は一部市場、特に米国で相対的に高いように見受けられる」とし、「市場参加者は総じて、金融環境が急激に引き締まるリスクに対して関心がないようにみられる」と指摘した。

  世界の金融安定に対する短期的なリスクは「やや」高まったとIMFは指摘し、金利は歴史的に見て依然低く、金融環境は引き続き成長を支えていると分析した。

  その一方で、多くの市場でバリュエーションの伸長が進行中だとして、米株式市場を筆頭に挙げ、米株相場は金融危機前のバリュエーションを「大きく超えている」と指摘した。

  IMFはまた、市場のボラティリティーは低過ぎるように見受けられ、高利回り社債のスプレッドは歴史的な低水準にあると分析。オーストラリアやカナダ、北欧諸国など一部の先進国・地域の住宅価格はフロス(小さな泡)の状態とみられるとも指摘した。

  トビアス・エイドリアン金融資本市場局長は「一部の先進国・地域で投資家は自信過剰となり、慢心している可能性さえある」と、報告公表前にワシントンで記者団に語った。

  今年はリーマン・ブラザーズ破綻から10年にあたる。IMFは銀行システムは強化されたものの、新たなリスクが浮上し、「世界の金融システムの耐久力はまだ試されていない」と指摘。危機後に敷かれた規制を緩和するのは間違いだと一部の国に警告した。

  IMFは新興市場の信用環境が4月半ば以降に引き締まったと指摘。全体的な新興市場リスクはなお、「歴史的な水準に比べて穏やか」との認識も示した。一方で、新興市場の債務は増え続けており、先進国の中央銀行による金利引き上げに伴い「厳しい状況が続く公算は大きい」との見解を示した。

  中国を除いた新興市場国で、債券市場が金融危機時に匹敵する1000億ドル(約11兆3000億円)の資金流出に見舞われる確率は5%としている。

  中国では企業債務が「世界の歴史的標準を大きく上回る」水準に増加しているとし、家計の債務拡大ペースも懸念されると指摘した。

  貿易を巡る対立の高まりはこれまでのところ、特定セクターに影響が限定されているが、「市場参加者が貿易緊張の長期化を織り込み始めれば、金融環境は大きく引き締まり、世界の成長と金融安定に対するテールリスクが増すだろう」と分析した。

原題:Investors Underestimating Risk of a Financial Shock, IMF Warns(抜粋)

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