「中国条項」は障害か-カナダで議論呼ぶ北米3カ国の新貿易協定

  • 「第32条10項」について政権側は大きな意味はないとけん制
  • 市場経済でない国との自由貿易協議でUSMCA参加国に通知義務

中国との関係強化を目指すカナダのトルドー首相だが、トランプ米大統領とようやく合意した貿易協定がその夢の実現を難しくしそうだ。北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に「中国条項」が盛り込まれたためだ。

  シラキュース大学で貿易問題を研究しているメアリー・ラブリー教授(経済学)は「米国は全ての同盟国を巻き込んで中国を集団で攻撃しようとしている」と話す。

  USMCAは発効までに参加国議会の批准が必要だが、「第32条10項」は市場経済でない国との自由貿易協議を望む参加国は協議開始の3カ月前に他の2カ国に通知することを義務付けている。

トルドー首相と中国の習近平国家主席の会談(2017年12月5日)

撮影:Fred Dufour / AFP via Getty Images

  交渉当事国でない他の2カ国は自由貿易協定の調印前に検証が可能で、またUSMCAに加盟する1国と非市場経済国との間に結ばれた新しい協定が発効した場合は、他の2カ国が3カ国から成るUSMCAを打ち切ることができるというものだ。

  第32条10項には中国への言及はないが、カナダ国内では議論を呼んでいる。ただトルドー首相もフリーランド外相もこの条項に大きな意味があるとの見方をけん制。

  カナダで最も人口の多い州オンタリオの政府はフリーランド外相宛ての書簡で、「カナダと他国の将来の貿易協定に影響する」条項なのかと問い掛け、同相は今回の合意には「他国との商業関係を発展させるカナダの主権を侵害するものは一切ない」と回答した。

USMCAについて記者会見するトランプ大統領(1日)

撮影:Andrew Harrer / Bloomberg

  トルドー首相はバンクーバーでの2日の記者会見で、「世界貿易において中国は重要かつ成長しつつあるプレーヤーで、中国側とのわれわれの貿易関係を深め改善させるやり方を探る」と表明した。中国商務省に4日、ファクスでコメントを求めたが今のところ返答はない。

The Elephant Next Door

Canada trades far more goods with the U.S. than with any other nation

Source: Statistics Canada

トルドー首相とフリーランド外相

撮影:David Kawai / Bloomberg

原題:Nafta’s China Clause Is Latest Blow to Trudeau’s Asia Ambitions(抜粋)

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