【コラム】イタリアはギリシャよりましか、もっと悪いか-エラリアン

  • 経済規模ゆえにセーフティーネットに比べ総資金必要額は莫大になる
  • 経済・金融面ではるかに大きなシステミックリスク震源になりかねず

イタリア債のリスクスプレッド拡大が数営業日続き、下院予算委員会のクラウディオ・ボルギ委員長が「独自通貨」を持つ利益があると発言したことを受け、公的および民間の両方のレーダースクリーンで、システミックな経済・金融の混乱を引き起こす潜在的な震源として、イタリアが再び正面から意識された。これに伴い、同国が「新たなギリシャ」になり得るとの警告すら発せられた。

  イタリアとギリシャのケースには類似点もあるが、イタリア資産の投資家がギリシャとは異なる幾つかの要因に注目する必要があることを示す大きな違いも存在する。

  イタリアのリスクスプレッド拡大の直接の引き金は、欧州連合(EU)のガイドラインを超える財政赤字目標を政府が発表したことであり、欧州中央銀行(ECB)がイタリア債の購入を段階的に減らすことも、一部の投資家にとっては問題だ。しかし、高水準の公的債務と一部の不安定な銀行、長引く成長低迷といった中期的な問題の組み合わせが、混乱のより深い底流にある。

  ボルギ委員長のような欧州懐疑派のイタリア政治家だけにとどまらない政治家の不用意な発言も、市場の不安を増幅させた。EUの行政執行機関である欧州委員会のユンケル委員長は「新たなギリシャ型の危機、今回はイタリアだが、その回避のためにあらゆる努力を払う必要がある」と発言した。

  ギリシャとイタリアのケースには、少なくとも3つの重要な類似点が存在する。

  1.国内総生産(GDP)比で見た巨額の公的債務、それとの関連で発行された大量の国債が国内の銀行システムに存在する状況、中期的な債務の持続可能性を巡る懸念の脆弱(ぜいじゃく)な組み合わせ

  2. 実体経済については、広く行き渡る高度な繁栄を生むことに繰り返し失敗した成長モデル

  3. 政治に関しては、ユーロ圏を巡って政治問題化も辞さない反エスタブリッシュメント(既存勢力)運動の台頭

  同時にシステミックな脅威の広がりを左右する異なる力学を示唆するような重要な違いも認められる。

  ギリシャと異なり、イタリアは欧州有数の経済大国であり、欧州経済統合プロジェクトの基礎となったEUの母体の原加盟国でもある。その経済規模ゆえに危機対応のセーフティーネット(安全網)として設立された救済基金に比べ、ユーロ建ての総資金必要額は莫大(ばくだい)なものに上る。その意味から経済・金融の両面ではるかに大きく、永続性を伴うシステミックリスクの震源になりかねず、それがイタリアの大きな問題だ。

  つまずき方がひどく悪ければ、イタリアがユーロ圏の存続を脅かす恐れさえあると言っても過言ではないだろう。

  (このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Italy Is Better and Worse Than Greece: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

    This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.

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