ローソン銀は将来的な株式上場を視野、小口決済変えるプレーヤーに

  • 「自らの信用力による調達が大切」-山下社長インタビュー
  • 当面はATM事業に注力、将来のキャッシュレス決済の基盤に

ローソン子会社の新銀行、ローソン銀行は財務の独立性確保のための選択肢として将来的な株式上場を視野に入れている。山下雅史社長は「自らの信用力による調達が非常に大切になる」との認識を示した。ローソン銀は15日に営業を開始する。

ローソン店舗

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  山下社長は1日のブルームバーグとのインタビューで、上場は「今すぐとは考えていない」としつつ、開業時に現金自動預払機(ATM)に入れる資金さえローソン保証の借り入れで賄った実態に触れ、「いつまでもお願いできないので、自力調達できる資本構成なり財務の独立性を目指さないといけない」と話した。ローソン銀にはローソンが95%、三菱UFJ銀行が5%出資している。同じ流通系では、セブン銀行は08年に上場、イオン銀行はイオンの上場子会社の完全子会社となっている。

  日銀のマイナス金利政策で銀行業界の収益が圧迫される中、久々の新銀行誕生となる。国内事業者による銀行業への参入は2011年の大和ネクスト銀行以来7年ぶりだ。山下氏は「既存の銀行業務をやるなら確かに事業環境は厳しい」と認めつつ、フィンテック企業など異業種を巻き込んで金融サービスの領域が拡大する中で「我々は新たな金融ニーズの開拓を目指しており、その意味で必ずしも今のタイミングが悪いとは思わない」と述べた。

  具体的には、主力のATM事業の提携先を増やすことでより多くの金融機関の顧客の即時入出金に対応。スマートフォンなどを使った小口決済時に介在した金融サービス業者を排し、小売業者側にとって支払い手数料が大幅に減るような決済の仕組みを1年から1年半で構築するとした。ローソン以外でも使える店舗が増え、電子マネーの種類が広がれば、個人にとってもキャッシュレス決済が身近になると期待しているという。

地域金融機関との連携

  このため、当面は構想の基盤となるATM事業の提携先拡大に注力する。山下氏は競合するセブン銀行の提携金融機関数600社を念頭に「2、3年で他行水準に追い付きたい」と目標を掲げた。現在の提携先は90行超だが、これまで未着手だった信金・信組、農協などの協同組織金融機関、ノンバンクを早急に開拓する。同行はキャッシュレス決済への取り組みを最優先課題に掲げるが、山下氏は現金決済を助けるATM事業を拡大することがむしろ「次のキャッシュレス決済の事業基盤拡大につながる」と説明した。

  もう一つの柱である地域金融機関との連携については、既に10行近くと具体的な話し合いが進んでいる。福井銀行とは福井県立恐竜博物館の隣接地に共同ATMの設置を検討中という。実現すれば、ローソン店舗以外でのATMは初めてとなる。このほかローソン店舗の地銀への間貸し、同行ATM利用で15日からもらえるようになるローソンのクーポン券に代えて地元商店街の割引クーポン券を印刷するサービスなども検討している。

  一方、地銀の間には異業種参入に対する警戒感もある。地銀協は9月、「競争条件の公平性が担保されていない」として政府に対し、銀行側の業務範囲規制の見直しを要望した。山下氏は同行は資産を軽くして手数料で稼ぐモデルだとし、地銀に提携を売り込む際は「バランスシートを使った商売をしません、顧客も奪いません」と伝えているという。「思った以上に反応はいい。お互いに顧客を最優先に考え、手を取り合えれば」と期待を込めた。

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