Photographer: Matthew Lloyd/Bloomberg

日本企業が「欧州の玄関口」に別れ-英国の合意なきEU離脱に備える

  • トヨタは工場一時停止を警告、パナソニックは欧州本部を大陸に移転
  • 合意なき離脱、日本企業にとって崖っぷちに他ならないと飯田英公使
Photographer: Matthew Lloyd/Bloomberg

日本企業19社の幹部らがメイ英首相と2月に会談を終えた後、鶴岡公二駐英大使は、英国の欧州連合(EU)離脱が海外投資家に不利な状況をもたらす場合について警鐘を鳴らした。

鶴岡公二駐英大使

写真家:Jack Taylor /ゲッティイメージズ

  メイ首相はEUとの間で摩擦なき通商関係を求めると約束したが、鶴田氏は英首相官邸前で記者団に対し、不利な状況となれば、英国では「どの民間企業も事業を継続できなくなる」と発言。「単純なことだ」と語った。

  それから8カ月。合意なき英EU離脱リスクが一段と高まり、その期日が近づく中で、日本企業はメイ首相が約束を履行できるか見極めるため待っている状況にはない。むしろ、鶴岡氏の警告に留意し、事業を英国外に移転したり、合意なき離脱の場合は事業規模を縮小すると警告を発する企業が増えている。メイ首相は3日の保守党大会で「必要とあらば英国は合意なき離脱も辞さない」と述べ、安心感を与える言葉はなかった。
  
  トヨタ自動車の幹部は9月29日、合意なき離脱なら英中部バーナストン工場での生産を一時停止する可能性があるとの見通しを示した。パナソニックは欧州本部をロンドン近郊からアムステルダムに移転。良品計画も同様にドイツへの移転を検討している。安川電機など他の企業も欧州の顧客に近い大陸で拠点を選ぶ方向にある。

  在英日本大使館の飯田慎一公使はインタビューで、「製造業を中心に多くの日本企業が欧州の玄関口として英国に投資してきた」と述べた上で、そうした日本企業は「来年3月に合意なきEU離脱となれば、崖っぷちに立たされるのに他ならない」と語った。

安川電気のロボットアーム(ドイツのティッセンクルップの製鉄所)

写真家:Krisztian Bocsi / Bloomberg

  日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本にとって英国は米国に次ぐ第2の投資先で、その規模は2017年時点で1530億ドル(約17兆5000億円)。日本企業約1000社が英国で事業を行い、約16万人を雇用している。
 
  ジェトロの昨年12月の調査によれば、欧州の日系企業の47%は、英国のEU離脱はこれら企業に悪影響をもたらすと回答。主に、英国の景気低迷と同国から欧州大陸への輸出を懸念した。
   
  一部企業は既に欧州大陸での新たな拠点設立を発表。野村ホールディングスや大和証券グループ本社三井住友フィナンシャルグループはいずれも欧州の中核拠点としてドイツを選んだ。三菱UFJフィナンシャル・グループは欧州の投資銀行業務の拠点としてオランダを選択し、 みずほフィナンシャルグループはドイツとオランダの両国で事業を強化している。

  経団連の中西浩明会長(日立製作所会長)は先週の記者会見で「さまざまな選択肢がある」と述べた上で、英国が合意なしにEUを離脱するとなれば「深刻な影響を及ぼす」と警告した。日立は、約4年前に鉄道事業のグローバル本社を東京からロンドンに移転。15年にニュートン・エイクリフに大規模な鉄道車両工場を新設している。
         

2017年8月31日、メイ英首相と安倍首相が会見(東京)

フォトグラファー:Kazuhiro Nogi / AFP via Getty Images

原題:Japan Waves Goodbye to U.K. ‘Gateway to Europe’ After Brexit (1)(抜粋)

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