IMF:金融危機から10年でも残る爪痕、成長鈍化-WEO分析部分

  • 政府債務は増加、移民減少や出生率低下も危機の影響
  • IMFはWEO全文を9日の年次総会で公表へ

先の世界的な金融危機は、成長の伸び悩みや政府債務の増加といったなかなか消えない爪痕を世界経済に残し、それには出生率の低下も含まれる。国際通貨基金(IMF)が3日公表した世界経済見通し(WEO)分析部分で指摘した。

  それによると、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが2008年に経営破綻してから10年が経過してもなお、世界の6割余りの国・地域の国内総生産(GDP)は、危機が発生しなかったと想定した水準を下回っているという。IMFは08年の金融危機について、「根本的原因はそれに先立つ5年間の米国の住宅ブームにある」とした上で、「その影響はメキシコのマキラドーラ(保税加工区)工場の閉鎖やスペインのカハと呼ばれる貯蓄銀行のリストラ、中国珠江デルタ地域の移民労働者の長引く失業など世界中で見られた」と付け加えた。

  最新の世界経済成長率予測を含むWEO全文はインドネシアで開かれるIMFの年次総会で9日に公表される。

  IMFは、危機直後にGDPや雇用の落ち込みが目立った国では所得格差も大きく開いたと分析。こうしたトレンドは、反エスタブリッシュメント(既成勢力)感情の高まりや世界中で見られる保護主義の訴求力増大を理解する鍵だろうと論じた。

  さらに、金融危機は銀行システムと通常なら関連性のない移民と出生率という2つの要素にも抑制効果をもたらしたと指摘。先進国では危機前の数十年に移民が急増したが、直後にそのトレンドは逆転し、1人の女性が産む子供の数は先進国で減少したと付け加えた。

  危機のダメージを抑制するため政府は歳出を拡大し、中央銀行は債券購入などの異例の措置を講じた。IMFによると、世界各国の政府債務はGDP比で52%(中央値)と、危機前の36%から増大。中銀のバランスシートはリーマン破綻前に比べて「数倍に」拡大した。

原題:IMF Says Crisis Legacy Is Slower Growth, More Debt, Fewer Babies(抜粋)

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