パウエルFRB議長はインフレリスク抑制に自信、賃金上昇を歓迎

更新日時
  • 賃金の伸び率上昇だけでは、必ずしもインフレ的とは言えない
  • 新たな貿易障壁が物価上昇を招く兆候はまだ見当たらず

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、最近見られる賃金上昇ペースの加速を歓迎しつつ、失業率低下で物価が急激に上昇し、積極的な利上げを余儀なくされることにはならないとの自信を示した。

  パウエル議長は2日にボストンで講演。「賃金上昇は確認された価格インフレや労働生産性の伸びとおおむね整合しているため、労働市場の過熱を示唆しない」と述べた。「また、賃金の伸び率上昇だけでは、必ずしもインフレ的とは言えない」と続けた。

パウエルFRB議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  さらに、「低インフレの定着と極めて低い失業率という歴史的にまれな組み合わせは、類いまれな時代が続いていることの証しだ」と発言。「金利の緩やかな正常化を継続する当局の政策は、類いまれな時代に不可避なリスクを均衡することで、現在の景気拡大を引き延ばしつつ、最大限の雇用と低く安定したインフレを維持しようとする当局の取り組みの表れだ」と述べた。

  5日公表予定9月の平均時給は前年同月比で2.8%増と見込まれている。前月は2.9%増と、2009年以来の高い伸びだった。パウエル議長は注目する4つの主要賃金指標の1つとしてこの数字を引用。4つの指標はすべて3%付近に集中していると指摘した。

  パウエル議長はまた、インフレ期待が固定されなくなる兆しがあれば、より真剣に受け止めると述べ、8月のワイオミング州ジャクソンホールでの演説で言及した点を繰り返した。

  講演後の質疑応答では、新たな貿易障壁がインフレ率上昇を招く兆候はまだ見当たらないとの認識を示し、「関税は価格を上昇させ得る。そこで問題になるのは、関税が価格水準を押し上げるだけなのか、実際にインフレ高進をあおるのかだ。それはまだデータから見て取れない」とコメント。貿易政策の影響を見極めるのは時期尚早だろうと付け加えた。

  議長は世界的な成長を巡る懸念がこの1年に高まったとの見方に同意したものの、警告は発しなかった。「世界を見渡せばまだかなり明るい構図だが、今年は明るさが若干少ないかもしれない」と述べた上で、「成長は依然として健全だが多少の圧力を受けているかもしれない」と語った。

  今の利上げサイクルで政策金利をどこまで引き上げるかを巡っては米連邦準備制度だけにとどまらない議論があるが、パウエル議長はこれについて言及しなかった。

原題:Powell Sees Muted Inflation Risk in ‘Extraordinary’ Economy (1)(抜粋)

(貿易に関する議長発言などを追加して更新します.)
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