トランプ米政権:通商問題で中国包囲網築き長期戦に入る構え

  • 過去数カ月に対韓国に続きカナダ、メキシコと新たな貿易協定
  • 日本やEUとも通商協議へ-USMCAには中国製品排除の条項

過去数カ月に対韓国に続きカナダ、メキシコとの間で新たな貿易協定をまとめ、日本や欧州連合(EU)ともそれぞれ通商協議に入るトランプ米政権は、中国とは包囲網を築いて長期戦に入る可能性に備えているように見受けられる。

  実際、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」には、中国製品を北米地域から排除することを狙ったとも受け止められる条項が盛り込まれた。

  サン・ライフ・インベストメント・マネジメント(運用資産額470億ドル=約5兆3600億円)のマネジングディレクター、デック・ムラーキー氏は「数カ月前には多方面で貿易相手国・地域に攻撃を仕掛けていた米国だが、今や中国に焦点を絞ることが可能になった」と述べた。

USMCAについて語るトランプ大統領(1日)

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  これは世界経済にとって良いニュースであり、悪いニュースでもある。プラス面では、トランプ大統領はあらゆる種類の貿易に反対する超単独主義者ではないことが示された。JPモルガン・チェースのエコノミストは9月28日の調査リポートで大統領について、世界経済をひっくり返すような「貿易への戦争」に打って出ることは控えたと指摘した。

  しかし、同社エコノミストに言わせれば、トランプ大統領は中国との貿易戦争を開始しており、それは来年の両国経済の成長を損ない、世界的に企業の景気信頼感の広範な低下を招くリスクを高めることになる。

  ホワイトハウスでカナダ、メキシコとの新協定を発表したトランプ大統領は1日、中国との「協議は時期尚早だ。彼らは過去何年もわれわれからはぎ取り、まだ準備ができていない。そんなにすぐに協議入りとはならない」と語った。

  USMCAを取りまとめた米国の交渉担当者の念頭に中国があったのは明らかだ。トランプ政権は自動車に関する原産地規則に関して、中国製部品を締め出して米国および北米での生産や投資を促すための手段だと称賛した。

  カナダの自動車部品製造業者協会のプレジデント、フラビオ・ボルペ氏は「中国からの輸入品が米市場で実質的なシェアを獲得するのを阻止しようと、米国は重点的に取り組んでいる様子だ」と分析。「米政権が用いる遠慮なき保護主義的手段は、中国がアメを使っても競争するのが難しいような主要貿易相手国・地域から成る同盟をつくり出すことになるかもしれない」との見方を示した。

  国際通貨基金(IMF)で中国部門の責任者を務め、現在は米コーネル大学で教えるエスワール・プラサド氏は、「米国が主要貿易相手国・地域との間で新たな協定を結べば、そうした国や地域の多くは中国の主な貿易相手でもあり、中国政府は次第に追い詰められるように感じるのではないか」と述べた。

原題:Trump Clears Deck for China Trade War by Striking New Nafta Deal(抜粋)

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