関西空港:月内に8割まで貨物取扱量回復へ-冠水した荷物足かせに

  • 冠水した貨物を処分できずスペースに制限-成田空港にも波及
  • ANAは26日から国際貨物便の運航を再開予定

台風21号の被害を受けた関西国際空港は月内に8割程度までの貨物取扱量を回復させることを目指している。ANAホールディングス傘下のANAなど航空各社も貨物便の運航再開を急いでいるが、施設内で浸水被害を受けた荷物の取り扱いなどに手間取り復旧が遅れている。

  同空港を運営する関空エアポート広報チームの鈴木南実子部長は、貨物エリアの機能は現在半分程度まで回復していると話す。その上で、同社は今月末までに通常の貨物取扱量の8割程度まで回復させる方針であることを明らかにした。同社の発表資料によると7月の貨物取扱量は国際線が7万1503トン、国内線が1369トンだった。

関西国際空港(今月21日)

Photo by Kyodo News via Getty Images

  関空の貨物施設のうち、米フェデックスが全体の約半分を利用する第2期島貨物上屋は被害をほとんど受けず7日に利用を再開。一方で、自動車部品や電子機器など大型貨物が中心の第1期島貨物上屋は浸水被害が深刻な状態だという。14日から順次利用を再開しているものの、冠水した貨物が残されたままで、通関業務に必要な機器なども故障しており機能回復は一部にとどまっている。

  石井啓一国土交通大臣は21日の閣議後会見で、貨物施設の被害は旅客ターミナルよりも深刻で、関西経済への影響を懸念しているとの見方を示した。貨物部分の復旧が遅れている理由の一つとして、冠水した大量の貨物の取り扱いについて「荷主や保険会社に確認する作業が残っている状態」とし、破棄や処分などを勝手に判断できないためと説明した。

  鈴木氏によるとこれらの貨物は「荷主が引き取りに来てくれるのを待つしかない状態」だとし「このため使用が可能な貨物スペースは限定的」と話した。25日時点で関空発着の国際線貨物便を運航しているのは4社と通常時の10社の半分以下にとどまっている。ANAは国内、国際貨物便を全便運休している。

26日に貨物専用便再開

  ANAは22日に旅客便の貨物室を利用した一部貨物の取り扱いを再開。また26日から沖縄、大連、上海と関空を結ぶ貨物専用機の運航を再開すると発表した。ANAHD広報担当者の吉村裕子氏は同社の国際貨物は電子機器、自動車部品、医薬品などが中心で時間的な優先度が高いものが多く含まれているという。一部施設や機器の運用が可能となったことから、「今後は回復に合わせ再開便を増やす方針」と語った。

  JALは貨物専用機は運航していないが、旅客便貨物室を使った関空発着の貨物輸送は15日に再開。広報担当の高森英智氏は空港内にあった貨物がほぼ全て冠水したため、現在も荷主による確認作業を進めているが「荷主の予定や都合などもあり確認には時間がかかる」という。その上で「一部は空港外に倉庫を借り移し変えることでスペースの確保を行っている」と説明した。

  京都に本社を置く電子部品製造の村田製作所は関空を拠点に製品を輸出していたが、今回の台風後は主に成田空港を利用する方針に切り替えている。同社広報担当者の飯田伸彦氏は、「コストも時間もかかるが成田までのトラック輸送で急場をしのいでいる」と述べた。

  国際貨物の輸出入の代替拠点として成田空港を利用する企業が増えたことから、スペースの不足が同空港にも波及。ANAは21日、貨物上屋の収容能力が限界に来ているとして成田での輸入貨物の取り扱いを22日から26日まで一時停止する方針を発表した。

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