海外勢の債券先物売り再開、「日銀もいずれは」と根強い金利先高感

  • 国内市場に浸かっているとなかなか見えてこないー三菱モルガン
  • 政策修正は黒田緩和の転換点だと解釈かー三井住友アセット

日本銀行が強力な金融緩和を粘り強く続けていくと約束してから1カ月以上が過ぎているにもかかわらず、海外投資家は日本の金利上昇に対する警戒姿勢を緩めていないようだ。

  日本取引所グループが発表する投資部門別売買動向によると、海外投資家は長期国債先物を7日が終了日となる週に4886億円売り越した。7月末の日銀政策修正を挟んだ8月第1週(7月30日~8月3日)には2兆2830億円の売り越しと、2014年3月の東証と大証のデリバティブ市場統合後では最多を記録。8月は日銀による臨時買い入れオペの影響などで買い越しとなる週が月央にかけて続いたが、同月末から9月初旬にかけて再び売り越しに転じている。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「国内市場にどっぷり浸かっているとなかなか見えてこない」とした上で、海外勢は米欧の中央銀行による金融引き締めや緩和策の修正を受けて「日銀もいずれは」という連想が働いているのだろうと指摘する。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げを続け、欧州中央銀行(ECB)にも来年秋以降の利上げ観測がくすぶる中、日銀の黒田東彦総裁は7月末に長期金利の振れが従来よりも倍に拡大することを容認した。長期金利は8月に入ってから一時0.145%と1年半ぶりの高水準を付けたが、その後の臨時国債買い入れオペなどを受けて、0.1%前後に戻している。

  JPモルガン証券の山脇貴史債券為替調査部長は、海外勢もさらなる政策修正がすぐにあるとは考えていないだろうが、金利の先高観は根強いようだと指摘。黒田総裁が金利の変動幅拡大を容認している以上、長期金利は「0.09%よりは0.13%に行く確率の方が高いだろう」と予想している。 
  
  三井住友アセットマネジメントの深代潤執行役員は、海外勢の投資動向について、債券市場の需給要因より日本経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)や政策の方向性に着目して売買しがちだと指摘。「いったん戦略を固めるとなかなか降りない傾向もある。政策修正は2013年から続く黒田緩和の転換点だと解釈し、半年くらいは我慢するのではないか」とみている。

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