コンテンツにスキップする

米物言う株主、ADEKAの日農薬子会社化は不平等と再考促す

更新日時
  • TOBと第三者割当を組み合わせ-取得価格に格差
  • TOB資料は日本語のみ、米投資家を意図的に排除と批判

化学品メーカーADEKAが関連会社の日本農薬を子会社化する手法が株主に不平等だとし、米投資会社が再考を求めている。株式公開買い付け(TOB)で予定する取得株数が少なく、買い取ってもらえない株主が大量に生じる可能性があるためだ。日本農薬はADEKAへの第三者割当も発表しており、同ファンドは希薄化懸念で株価に先安感があるにもかかわらず売却機会がないと不公平感が増すと主張している。

  「株主を平等に扱うという、日本のコーポレートガバナンス・コードに反する行為だ」。米ファンドのユーソニアン・インベストメンツのアドバイザーで弁護士、スティーブン・ギブンズ氏は取材に語った。同氏はまた、今回のTOB資料は日本語のみで英語版が用意されておらず、米投資家を意図的に排除しているとみる。

  8月の発表資料によると、ADEKAは日農薬株式を1株900円で18%(108億円)を上限に取得する。買い付け期間は今月19日までで、応募が上回った場合はあん分比例で必要分のみ買い取る。さらにTOB完了後、1株670円で保有比率が51%になるまで第三者割当で買い増す。ADEKAはすでに日農薬株の約24%保有する筆頭株主で、子会社化が完了する。日農薬は上場を維持する。

  TOB発表前の日農薬株の終値は667円で、TOB価格はこれに35%上乗せした価格。一方、第三者割当の価格は670円と低いが、日本では直前の市場価格であれば特に割安な価格とはみなされない。ギブンズ氏は「株主を平等に扱うなら応募分を全て900円で買うべきだ。安く支配権を手に入れるために少数株主の権利を不当に害している」と指摘する。

  大和総研の横山淳主任研究員は、一般論としてTOBと第三者割当は金融商品取引法と会社法がそれぞれを規定しているため、少数株主への配慮が「不十分な面はある」と話す。金商法では、TOBで保有比率が3分の2以上に達しなければ応募分を強制的に買い取らせる規定はない。ギブンズ氏は組み合わせ買収について「法的な抜け穴に目をつけたものだ。規制されない限り、今後も繰り返し利用される」と警告する。

  日農薬広報担当の関山亮氏は今回の子会社化に関し「株主からご意見を頂戴しているのは事実で、当社としてはその株主を含めてすべての株主と真摯(しんし)に対話をしていく」とコメントした。ADEKAの広報担当者に連絡を試みたがつながらなかった。

  19日の日農薬の株価は、一時前日比32円(4%)高の833円まで上昇した。これは先月23日以来約1カ月ぶりの上昇幅。

  ユーソニアン・インベストメンツは2017年、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国内株式運用を請け負う米投資会社タイヨウ・パシフィック・パートナーズなどで運用に携わっていたドリュー・エドワーズ氏らが設立。8月末現在の運用資産残高は10億ドル(約1170億円)で、日農薬の株主ながら保有比率は公表していない。

(更新前の記事は最終段落のエドワーズ氏の職歴を会社側の申し入れにより訂正済みです)

(第7段落に日農薬の株価を追加しました.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE