コンテンツにスキップする

自民AI対決、首相圧勝なら日本株高-僅差は「終わりの始まり」

更新日時
  • 安倍盤石化が対トランプ交渉に影響も、日経平均はレンジ相場上放れ
  • 分岐点は石破氏270票以上、経済政策で新たなドライバーも必要に
Shinzo Abe

Shinzo Abe

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Shinzo Abe
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちになった自民党総裁選。安倍3選を本命視する日本株市場で投資家らが注目するのは勝ちっぷりだ。圧勝し政権基盤が安定すれば、アベノミクスへの信頼で海外マネーの流入が期待される半面、僅差なら首相のレームダック化が警戒され始める。

  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「安倍首相が圧倒的に勝ち、政権基盤を盤石にできるかどうかが注目点」と指摘。圧勝なら、国内基盤を固めた上で米国のトランプ大統領との通商交渉に臨めるとし、「日本は農業分野で米国に譲歩する一方、自動車分野の譲歩を引き出すことが最善の戦略。自民党の票田である農業分野で譲歩するには、まず政権基盤を盤石にする必要がある」と言う。

  丸三証券の服部誠執行役員は、「安倍氏が勝利すれば、すぐに消費税増税に向けた財政出動対策が期待される時期に入っている」との見方だ。2016年の米大統領選、17年のフランス大統領選や衆院選と「日本株は結局、この3回とも政治で株価が動いている。米国や欧州の政治が不安定な中、安倍首相の3選は日本国内で考えている以上に海外投資家から重視される可能性がある」と話す。

  6年前の石破氏との決戦投票に勝利、その後の衆院選も勝って政権に返り咲いた安倍首相。デフレ脱却を目指すアベノミクスを進め、日経平均株価は13年からの5年間で2.2倍になった。日本の変化を評価した海外勢による日本株買越額(現物)は、13年に過去最高の15兆円を記録した。

  ことし1月には日経平均がバブル期以来、26年ぶりの高値を付けたが、森友・加計学園問題など政権スキャンダルや地政学リスク、米国を巡る貿易摩擦懸念などが上値を抑制。レンジ相場が続いた中、海外勢の日本株に対する弱気姿勢も目立ち、18年の現物累計売越額は9月1週までで4.4兆円とブラックマンデーのあった1987年に次ぐ高水準となっている。

270票以上、ダブルスコア

  いちよしアセットの秋野氏は、「自動車が通商問題で影響を受けるとGDPへの悪影響が大きく、その不透明感が日本株の重し」とした上で、「日経平均が三角もちあいを上放れるなど、足元の日本株は既に安倍首相の圧勝を前倒しで織り込み始めた。日経平均はことし高値を上回り、中期的には2万5000円を目指す」と予想する。

  ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジスト、キャシー・松井氏も「保護貿易主義と世界経済の成長減速リスクは残るものの、安倍氏再選、財政刺激策、収益予想の上方修正、海外投資家の買い再開といったファンダメンタルズ改善を反映し、市場は徐々に遅れを取り戻す」とみている。

  首相圧勝か、そうでないかを判断する分岐点はどこか。UBS証券ウェルスマネジメント部の日本株リサーチヘッド、居林通氏は「マーケットは石破氏が総得票数の3分の1に当たる270票以上を獲得した場合のインパクトを過小評価している。それはアベノミクスの『終わりの始まり』を意味する」との認識だ。首相の経済政策には新たなドライバーが必要になっているにもかかわらず、「現時点では見当たらない。今の段階ではあまり幸せなシナリオはなさそう」と言う。

  「一つのメルクマールは首相と石破氏の得票がダブルスコアになるかどうか」と話すのは、三菱UFJ国際投信・株式運用部の小西一陽チーフファンドマネジャーだ。ここから両者の得票差が縮まれば、12年当時のように「石破氏が党の役職に就いたり、ポストを与えることになると、党内のパワーバランスが少し変わってくる。スキャンダルや選挙で弱目の数字が出たりすると、さまざま政策に影響する可能性がある」と警戒感を示す。

首相、朝日新聞調査で議員票8割超確保

  20日投開票の自民党総裁選は国会議員票405、党員・党友の地方票405の計810票を争う6年ぶりの選挙戦。安倍首相は会見で、台風や地震など相次ぐ災害を受け「安心できる強靱(きょうじん)な日本をつくり上げる」とし、来年10月からの税率10%への消費税増税を予定通り実施する考えを示した。石破氏は「国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる」と語った。

  12日付の朝日新聞報道によれば、首相が党所属国会議員405人のうち337人の支持を集め、議員票の8割超を確保する情勢。石破氏は50人にとどまっている。17日付の読売新聞が党員・党友を対象に行った投票傾向に関する電話調査では、首相51%、石破氏36%だった。

  20日午後2時すぎに明らかになった総裁選結果は、安倍首相553票、石破氏254票となり、安倍首相が3選を果たした。結果判明後の日本株は一時先物主導で下落傾向となる場面があったが、早々に戻し、テクニカル指標からみた短期過熱感も加わり、明確な方向感を見いだしにくい。前日までの4連騰中に日経平均は1000円以上上げていた。

安倍首相返り咲き後の日経平均株価と海外投資家の日本株売買
(文末に総裁選の結果と日本株概況を追記.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE