【日本株週間展望】上昇、通商懸念後退で業績見直し-自民総裁選注視

  • 米中話し合いムード継続なら投資家心理は改善、新興国不安も和らぐ
  • 国内では政策期待出やすい、日米協議で厳しい要求なら戻り売り圧力

9月3週(18ー21日)の日本株は上昇する見込み。米国と中国を巡る通商問題への過度な懸念が後退しており、良好な企業業績や割安な株価を見直す動きが強まりそう。20日の自民党総裁選も注視される。

  米国が中国に新たな通商協議を提案し、両国は具体的な作業に取り掛かっている。次官級で米中通商協議が8月22日に再開された際、日本株相場は8月末まで反発傾向を強めた。3週は米国と日本との第2回通商協議が開催される見通しで、米中や日米の協議に関する新たな悪材料が出ない間は買い戻しが続く公算がある。トルコの利上げをきっかけに新興国の通貨や経済への不安が和らぎ、為替相場はリスクオンで円安に振れている。大企業製造業の今期想定為替レート1ドル=107円26銭に対し、足元では一時112円台に乗せてきた。株価の割安感も再評価されやすい。

安倍首相と石破氏

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  国内では20日に自民党の総裁選挙が行われる。6年ぶりの選挙戦となった総裁選は安倍首相と石破元幹事長の一騎打ちで、各種調査から安倍首相の3選が濃厚なため得票差がどの程度になるかが焦点。安倍首相の圧勝なら政治基盤の安定や選挙後の景気対策・国土強靱(きょうじん)化への期待が高まるとみられる。

  もっとも、日本株は戻り高値を更新してきただけに、自動車関税など日米協議でトランプ米大統領の厳しい対日要求が明らかになると、戻り売り圧力が強まる可能性がある。発表が予定されている米経済指標は17日に9月のニューヨーク連銀製造業景況指数、19日に8月の住宅着工件数、20日に9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数。国内では18、19日に日本銀行の金融政策決定会合が開かれる。第2週の日経平均株価は週間で3.5%高の2万3094円67銭と2週ぶりに上昇、2月以来の高値を付けた。

≪市場関係者の見方≫
大和住銀投信投資顧問の門司総一郎シニア・エコノミスト
  「上昇局面入りを予想している。米国ではトランプ大統領が急速にレームダック化する兆候が出ている。支持率低下で議会が思うようにコントロールできないようになり、米国で広がるアンチトランプの流れが市場に浸透すれば、日本株のバリュエーションの割安問題も自然に解決する。2000億ドルの対中追加関税を米国が一度に発動できる可能性はほとんどないほか、米国内で自動車関税への不満が強いこともあり、日本に対しても通商問題で大きな圧力はかからないだろう。新興国通貨が売られ過ぎたこともあり、トルコの利上げを契機に新興国通貨・経済に対する懸念も後退しそう。自民党総裁選は結果が見えており、材料になりにくい」

三菱UFJ国際投信・戦略運用部の向吉善秀シニアエコノミスト
  「上値を試す展開となりそうだ。米国と国内、それぞれの政治要因がプラスに働くだろう。米国では中間選挙に向けての予備選が2週で一段落する。これまでの通商政策での外向きの圧力が緩和されるとともに、減税など景気にプラスとなる内向きの政策へトランプ米大統領の目線が変わるタイミングだ。国内では自民党総裁選が想定通り安倍首相の勝利で終わるとともに、大型補正予算への期待が出てきやすい。トルコの利上げで日本株の上値を抑える要因だったリスクオフの圧力が和らぎ、為替も円安に振れやすくなる。海外の需要は堅調な上、国内の設備投資需要が想定以上に出ており、企業の良好な収益予想を踏まえると、日経平均は累積売買代金から見て真空地帯の2万3000円台半ばまで上がりやすい」

ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジスト
  「じり高を予想する。自民党総裁選で市場は安倍首相が3選するとみている。対抗馬の石破氏の獲得票を200票未満に抑えるなどで圧勝すれば、海外投資家からの買いが強まり日経平均は2万3500円もあり得る。米国と中国が新たな通商協議で対話を再開することは、手放しで楽観まではいかないものの、安心感が広がりやすい。自民総裁選後は日米通商協議への警戒が高まる。トランプ米大統領は中間選挙まで同盟国の日本にも厳しいコメントを出してくる可能性があり、特に製造業のトップにある自動車への関税には注意が必要だ」

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