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米アップル、最新アイフォーンの機能で再び中国当局に譲歩か

  • 最新機種のeSIM技術、中国や香港・マカオで利用できず
  • 代わりにSIMカード2枚を挿入できるスロットを提供

アップルの新型「iPhone(アイフォーン)」は、極めて重要な中国市場向けには世界最大のテクノロジー企業であっても戦略修正を迫られることを示唆した。

  12日発表の新機種「Xs」は2種類の通信サービスをサポートし、事業者間の切り替えが容易な「eSIM」が内蔵されている。しかし、アップルはサポートサイトで、中国と香港、マカオではこの技術を利用できないと説明。その代わり、ユーザーの携帯電話番号を特定し認証するSIMカード2枚を挿入できるスロットを提供した。アップルは製造効率化のためデザインをできる限り標準化する方針であるため、特定の市場向けに製品設計を変更するのは異例。

Apple Inc. Kicks Off Product Blitz With IPhone Xs Line And Watches 

右側がアイフォーンXs Max、左側がXs

フォトグラファー:David Paul Morris / Bloomberg

  SIMカード2枚の妥協案は、世界最大のスマートフォン・インターネット市場である中国へのアクセス確保のために犠牲を払うこともいとわないアップルの姿勢を映している。同社の大中華圏での2017年度売上高は450億ドル(約5兆円)と、全体の約20%を占めた。

  アップルはeSIMを中国で利用できない理由に言及しておらず、広報担当者に電子メールでコメントを求めても返答はなかった。だが、中国政府の規制に関係している可能性はある。
  
  米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は昨年、中国国有の携帯電話事業者がアップルウオッチのシリーズ3の新規ユーザーに対し、セルラー通信アクセスを突然遮断したと報道。シリーズ3に内蔵された独自eSIM技術により、通信事業者も規制当局もユーザーの身元追跡が困難になった可能性があると業界アナリストらは同紙に話したという。

  アップルは過去にも、中国での法律順守やビジネス支援のため譲歩したことがある。中国政府は2016年、電子書籍配信「iBooks Store」と映像配信サービス「iTunes ムービー」の閉鎖を同社に命じたほか、昨年はユーザーが位置情報を隠したり、特定のウェブサイトへのアクセスを阻止する当局の取り組みを迂回できるアプリ674種をアップストアから削除するようにも命じた。

原題:Apple Bends to China’s Will Again With Latest IPhone Feature(抜粋)

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