コンテンツにスキップする

中国映画界のリスク露呈-スキャンダルに巻き込まれた女優の沈黙続く

  • 映画スターの所得過少申告スキャンダル後、范冰冰氏は姿見せず
  • 范氏の沈黙と当局の調査には政治的側面もある-ローゼン教授

わずか数カ月前まで、范冰冰氏の未来は明るかった。中国を代表する映画女優の1人として、ハリウッドのスーパーヒーロー大作にも何本か出演し、多くのプロジェクトが進んでいた。

  だが6月、映画スターの所得過少申告スキャンダルに巻き込まれた。中国の税務当局が脱税の可能性があるとして、范氏ら映画関係者の調査に乗り出したのだ。

'Jeune & Jolie' Premiere - The 66th Annual Cannes Film Festival

范冰冰氏

フォトグラファー:Gareth Cattermole / Getty Images

  中国版ツイッターとも言える会員制交流サイト(SNS)「微博」で6300万人のフォロワーを持つ36歳の范氏は以来、公の場に姿を現していない。SNSの更新もない。 范氏は不正行為を否定しており、同氏の映画会社にコメントを求めたが、担当者には取材できなかった。

  范氏の不在は、巨大エンターテインメント市場としては世界一規制の厳しい中国でのショービジネスのリスクを映画界の経営幹部にあらためて認識させた。共産党はコスチュームの適正さから映画スターの稼ぎに至るまであらゆることに目を光らせている。

  エンターテインメント関連のスタートアップ企業や映画会社に投資するランドマーク・キャピタル(北京)の創業パートナー、ライガー・ヤン氏は「今回の当局による調査が映画会社にスター頼みでなく、質の高いコンテンツづくりに向かうよう迫るだろう」と述べる。

Slipping Margins

Chinese film company margins fell to the lowest since 2012 last year

Source: Bloomberg

  中国では最近、国産映画がハリウッドの大作を抑えヒットしており、映画ブームが勢いを取り戻しつつあるが、映画製作で国内大手の華誼兄弟伝媒浙江華策影視は年次報告でスターへの支払いが利益率の重しになっているとも説明している。
   
   范氏の沈黙と当局の調査には政治的側面もあると言うのは南カリフォルニア大学のスタンレー・ローゼン教授(政治学)だ。「こうした分野の政策の重要なけん引役はソーシャルメディアと世論だ。不平等感や超金持ち、不正行為ということになれば特にそうだ」と指摘。

  中国と本土映画産業を研究しているローゼン教授はその上で、映画界により長期的な打撃を与えるようなやり方で政府が締め付けを強化することはないだろうと予想し、当局は引き続き北米の映画興行収入を追い抜くのに十分なペースで国内の映画産業が成長することを望んでいると話した。

原題:Movie Star’s Absence Shows Perils of Show Business in China(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE