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【コラム】アップル新製品発表、通信事業者に致命的打撃も-ウェッブ

新型「iPhone(アイフォーン)」の登場は通常、通信事業者にとって朗報だ。アップルが発表する最新機種は常にゲームや動画鑑賞、ダウンロードがやりやすくなっており、契約者のデータ使用が増えれば請求する通信費も大きくなる。

  だが、アップルが12日明らかにするアイフォーンの新製品は、通信事業者にあまり歓迎されないかもしれない。なぜなら、現在は1枚ずつスマートフォンに搭載されている加入者認識モジュール(SIM)の次世代版で埋め込み型のeSIMをアップルが導入する可能性があるためだ。今回そうならなくても、新技術への流れは止められないようにみえる。

  通常のSIMだと、契約する通信事業者をそれほど簡単には変えられない。ショップに行って新しいSIMを受け取るか配達してもらい、差し替える必要がある。対してeSIMなら、スマホの設定を変更するだけで、通信事業者を変えられる。このeSIM導入をベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tが結託して阻止しようとしているとアップルが米司法省に申し立てたため、同社が導入するとの観測が広がった。司法省は調査中だ。

  導入されれば、通信事業者の間で値下げ競争が加速するのはほぼ確実。消費者はよりお得な事業者に乗り換えようとするだろう。

  欧州半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスは5月、同社製eSIMが年内に主要スマホに内蔵されるとの大ヒントを提供している。それが今年のアイフォーン向けかは12日に分かるが、消費者が手にする利便性を考えれば、通信事業者がいつまでも抵抗できる方法は考えにくい。アップルもそのような論理を展開するだろう。新技術は既に一部の「iPad(アイパッド)」で採用されているほか、STマイクロは「アップル・ウオッチ」向けにeSIMを供給している。

  長期的にみれば、eSIM登場で通信事業者の差異化はより困難になるだろう。ノースストリームの通信コンサルタント、ベント・ノードストロム氏は「どのサービスを利用しているか問われた際、利用者からすれば、使っているのはアイフォーンかサムスンの製品であって、通信事業者ではないと答えるだろう」と指摘する。

  事業者にとっては、単なる公益事業者に成り下がる危機だ。通信サービス企業は既に、欧州株ストックス600指数を構成する業種別で年初来騰落率が最下位に近い。スマホを持たない消費者はもうほとんどいない。ということは、市場シェアを事業者がますます食い合う闘いになっていく。新たな価格競争の波は喜ばしいものにはならないだろう。(アレックス・ウェッブ)

A Little SIMpathy Please

Phone operator shares are already struggling

Source: Bloomberg

(アレックス・ウェッブ氏はテクノロジーやメディア、通信業界をカバーするコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Apple Plans Another Death Blow to the Phone Carriers: Alex Webb(抜粋)

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