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住友鉱社長:EV電池材料を安定確保、海外ニッケル工場の新設に意欲

  • 来期以降にインドネシアへの進出を判断、総事業費は2000億円規模
  • EV電池材料の供給でパナソニック、トヨタとの連携強化進める方針

住友金属鉱山の野崎明社長は、インドネシアでニッケル鉱石を中間製品にまで加工する工場の新設に意欲を示した。電気自動車(EV)に使われる電池材料としてニッケル需要の増加が見込まれることから、新規供給源を確保する。

Sumitomo Metal Mining Co. President Akira Nozaki,

野崎社長

Source: Sumitomo Metal Mining

  10日のインタビューで「EV向けニッケル需要が増えることは間違いない。ニッケル事業を伸ばすとともに、電池材料の安定確保にも通じることから、ぜひとも行いたい」との考えを示した。ニッケル生産で世界最大手のブラジル・ヴァーレと共に事業化調査を進めており、2019年度からの3年間の新中期経営計画の期間中にも最終的な投資判断を下す方針。

  事業化を検討しているのは「ポマラ・プロジェクト」。品位(金属含有量)が1%程度のニッケル鉱石から、60%程度にまで高めたニッケルとコバルトが混合する中間製品を生産する。生産規模は年間4万トン程度を視野に入れている。一般的に1万トンの能力を持つ設備を建設するのに5億ドル(約560億円)程度かかるといい、総投資額は20億ドル規模が見込まれる。住友鉱は操業主体として運営会社の過半を出資する見通し。

  住友鉱は高圧硫酸浸出(HPAL)と呼ばれる技術を用いて、採算的に厳しいと言われた低品位の鉱石からニッケルを取り出す事業の商業化に世界で初めて成功した実績を持つ。現在、フィリピンでHPAL技術を用いたニッケル工場を2カ所操業しており、インドネシアでもHPAL技術を活用する。

  一方、建設予定現場は輸出港までの道路が未整備であるなどインフラ面での課題を抱える。長期的なニッケル価格の見通しなども踏まえ、投資採算を慎重に見極める。野崎社長は「ポマラ・プロジェクトの事業化が難しい場合には別の案件を考えなければいけない」と述べた。

Sumitomo Metal Mining Co. HPAL plant

フィリピンのタガニートHPALプラント

Source: Sumitomo Metal Mining

  海外で生産したニッケルとコバルトが混合した中間製品を国内の工場に持ち込み、EV電池の正極材材料となるニッケル酸リチウムなどに製品化している。現在、ニッケル酸リチウムは全量をパナソニックに提供し、最終的には米EVメーカーのテスラ車に搭載されている。13年に月産300トンだったニッケル酸リチウムの生産能力は今年末には同4550トンへと15倍に拡大する。

急拡大する住友鉱のEV電池材料の供給量

ニッケル酸リチウムの生産能力は年末に月産4550トンに

出所:会社資料より

注:右は月産の生産能力

  野崎社長はニッケル、コバルトを自前で調達し、中間製品から電池材料までを一貫して生産、安定供給できることが強みだと説明。また、電池材料はコモディティー(汎用商品)ではなく、顧客仕様に合わせた技術力を必要とする「カスタムメイド」の商品だと指摘。「顧客側も相当研究しており、それに適する材料を提供するのがわれわれの仕事」として、パナソニックとトヨタの2社を軸に、EV電池材料の供給先拡大も含めた連携強化を進める考えを示した。

  住友鉱はパナソニックと協力し、01年にトヨタのハイブリッド車(HV)である初代プリウスに電池材料が採用されて以降、材料供給を続けてきた。ただ、正極材の使用量はプラグイン・ハイブリッド車(PHV)でHVの10倍、EVはPHVのさらに10倍と圧倒的に多い。

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