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日銀は長期金利変動幅拡大を、ゼロ%下限で-リコー研・神津氏

  • 緩和は将来の禍根の種、顕現化する可能性が時々刻々高まる
  • 4月の著書で長期金利変動を提言、7月の会合で現実に
黒田総裁

黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
黒田総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行OBの神津多可思リコー経済社会研究所長は、金融緩和の副作用軽減策として、ゼロ%を下限に長期金利の変動幅を広げるべきだとの考えを示した。神津氏は日銀の政策修正前から長期金利の柔軟化を提言していた。

  神津氏は5日のインタビューで、日銀が7月の金融政策決定会合で、ゼロ%を目標とする長期金利の変動幅を上下0.2%程度に拡大したことを、金融正常化に向け「一歩踏み出さないよりは踏み出してよかった」と評価。一方、副作用軽減には「不十分だ」と指摘し、今すぐ長期金利誘導をやめるのが非現実的だとすれば、次の一手はゼロ%を下限として「もっと大きな変動幅を認めていくことに尽きる」と語った。

  4月に出版した著書「『デフレ論』の誤謬(ごびゅう)」(日本経済新聞出版社)では、硬直的な長期金利の誘導を長期化させると潜在的な急上昇圧力をためこむ恐れがあり、一定の幅で上下することを許容する政策が望ましいと主張していた。7月の決定で現実になった。

  神津氏はインタビューで緩和策の副作用について、金融システムへの負荷や市場機能の喪失、財政規律の緩みなど「将来の禍根の種になるようなことが多かれ少なかれある」と分析。リスクが顕現化する可能性は「時々刻々、高まっている」との見方を示した。

  ただ物価の低迷が続く中、現実的には正常化へ向けた次のハードルは高いとみている。政策委員会は正常化を目指す主流派と一層の緩和を求めるリフレ派で割れており、7月の決定では、議長案に反対してきたリフレ派の片岡剛士審議委員に加え、原田泰審議委員も反対に回った。決定には政策委員の過半数が必要という制約の下、神津氏は「今回のように玉虫色の決定を行うのはもう限界ではないか」と指摘した。

  景気の調整局面入りも近いと分析しており、正常化には円高リスクも障害となる。「日銀が今すごく不安に思っているのは、次の景気調整局面をこれ以上緩和をせずに通り抜けられるかどうかだろう」と話した。

  神津氏は1980年に東大経済学部卒業後、日銀入行。政策委員会室や金融機構局の審議役などを経て2010年にリコー経済社会研究所主席研究員に就任した。16年4月からリコー執行役員・リコー経済社会研究所所長を務める。

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