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【日本株週間展望】反発、マクロ堅調と割安ー日米摩擦の急浮上は警戒

  • 米国で物価や小売関連統計が公表、日本のGDP改定値は上振れへ
  • トランプ大統領が米紙に対日貿易不満語る、SQ算出も波乱要因に

9月2週(10-14日)の日本株は反発する見通し。日米のマクロ経済が堅調な中、割安感を評価する買いが入り、約5カ月ぶりの週間下落率を記録した反動も予想される。一方、米国との貿易摩擦問題は中国に加え、日本も直接巻き込まれる可能性が浮上し、上値は限られそうだ。

  米国では12日に生産者物価指数(PPI)、13日に消費者物価指数(CPI)、14日に小売売上高と8月の経済指標が発表される。市場予想はPPIが前月比0.2%上昇、食品とエネルギーを除くCPIは前年比2.4%上昇、小売売上高は前月比0.6%増。伸び率は前の月をやや上回るか同水準となる見込みで、米景気の堅調は直近の下げがきつかった電機など輸出セクターを見直すきっかけになり得る。中国で14日に公表予定の8月の鉱工業生産は市場予想で6.1%増の見通し。前の月は6%増だった。

Inside the Tokyo Stock Exchange As Banks Continue Rally Following Yields Spike

東証内株価ボードと参観者(イメージ)

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  日本では10日に4-6月期の実質国内総生産(GDP)改定値が公表され、前期比年率2.6%増と速報値1.9%増からの上方修正が予想されている。マクロに加え、ミクロの企業業績に対する安心感もある。SMBC日興証券によると、主要企業250社(金融除く)の2018年度経常利益は10.8%増の見通しと前回6月から2.2ポイント上振れた。圷正嗣チーフ株式ストラテジストは、「今年度予想PERは13.9倍。業績予想が切り上がった分、割安感が一段と強まった」とみている。

  ただし、主要株価指数の反発力は限定的となる可能性が高い。これまでの中国に加え、通商問題を巡るトランプ米大統領の攻撃対象に日本が加わりつつあるためだ。米紙に対日貿易赤字に関する不満を口にし、月内の開催観測がある首脳会談で日本のリーダーは自動車、農業などの分野で厳しい要求を突きつけられるリスクがある。14日は先物・オプション9月限の特別清算値(SQ)算出で、先物主導で急変動する場面も想定される。第1週の日経平均株価は週間で2.4%安の2万2307円06銭と3週ぶりに反落、下落率は3月3週(4.9%)以来の大きさだった。

<市場関係者の見方>
●三井住友信託銀行・投資顧問業務部の鎌田一明運用企画グループ長
  「米国でISM指標が予想より高いなど産業は好調、消費も強く、良好な状況が続いている。日本もGDPが拡大見通し、4-6月期に続き7-9月期も業績拡大が見込まれる。TOPIXのPER14倍台は、米S&P500指数の17倍台と比較しても割安だ。最近の日本株続落は限界で、反転が期待できる。自民党総裁選で台風や地震による災害への対策が一つのテーマとなり、国土強靭化計画など財政政策が期待され、経済に追い風となろう」

●SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリスト
  「米中に加え日米の貿易交渉問題が急浮上し、不透明感が出てきた一方、テクニカル的にみても下値は限定的で、一進一退が続く。トランプ米大統領が日本を名指しして貿易問題に言及、次に何を要求してくるか分からず、警戒感が強まっている。米国による2000億ドルの追加関税に対し中国は600億ドルの報復関税が対抗策だが、足りない部分に何を出してくるかが次のリスクだ。ただし、災害があったにせよ、日経平均の6日続落やTOPIXも移動平均線からみて売られ過ぎ。台風や地震からの復旧が進むと経済活動が活発化し、株式相場にも自律反発の期待がかかる」

●セゾン投信の瀬下哲雄運用部長
  「新興国リスクがアジアに波及しつつあるほか、米国と中国による関税政策の影響度合いが意識され始め、マーケットは弱気にならざるを得ない。米中の報復関税は今までになく、想定できない実験と一緒。日本経済や個別企業にどうつながり、影響が出てくるか分からず、不透明感は続く。米国の9月利上げは確実で、新興国から資金が引き揚げられ、通貨安が負債の負担を高め、企業活動に影響を及ぼせば、世界経済のスローダウンにつながる。一方、米経済の良好で過度に円高が進むリスクは小さく、日本企業の業績も好調なため、株価が大きく崩れる心配はない」

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