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スルガ銀、3首脳が引責辞任-第三者委がシェアハウス問題で報告

更新日時
  • 岡野会長ら3人に善管注意義務違反認定、有国取締役が社長昇格
  • 「企業文化を根本的に変える」-有国新社長が謝罪
Suruga Bank Responds To Loan Scandal
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Suruga Bank Responds To Loan Scandal
Suruga Bank Responds To Loan Scandal
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

会見する有国氏

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

シェアハウスをめぐる不正融資問題で、スルガ銀行の第三者委員会(委員長・中村直人弁護士)は7日、融資の審査書類などに改ざんや偽造があり、多くの行員の関与を認定するとともに、その背景にコンプライアンス意識の欠如などがあったとする調査結果を公表した。これを受けて同行は、7日付で岡野光喜会長、米山明広社長、白井稔彦専務ら役員5人が辞任、後任社長に有国三知男取締役(52)を充てたと発表した。

  創業家出身の岡野会長ほか代表権を持つ3人が引責辞任する異例の事態となったが、第三者委は辞任した3人については善管注意義務違反を認定するとともに、一部については法令違反もあったとした。岡野会長については「最も重い経営責任がある」と記した。会長ポストは後任がなく空席となった。

  このほか第三者委は以下の点についても指摘した。

  • 投資家に十分な自己資金があるように不動産販売会社が偽装工作した
  • 収益不動産ローン全体に無担保ローンの抱き合わせ販売が強く推奨された
  • 審査部門が営業部門からプレッシャーを受けていた傾向があった
  • 極端なコンプライアンス欠如と企業風土の著しい劣化があった
  • 有国氏に明らかな善管注意義務違反があったとは認められないが、一定の経営責任

  第三者委の報告を受けて有国新社長は記者会見し、シェアハウス融資で「多大なるご迷惑をお掛けしました」と謝罪、「企業文化を根本的に変え、ガバナンス機能を整える」と語った。社外監査役の野下えみ氏は、既に退任した取締役や執行役員の「訴訟の可能性も含めて」今後も調査していくと述べた。

  スルガ銀は低収益にあえぐ地銀の中にあって、高リスクながら金利が稼げる個人向け無担保ローンや不動産投資ローンに注力することで高い収益性を維持、2016年度まで5期連続最高益を更新していた。しかし、1月にシェアハウス向け融資問題が表面化して以降、不適切融資などをめぐる報道が相次ぎ、株価は年初来で76%下落した。社内調査では増収増益維持に向けた圧力が不適切融資に走らせたとの指摘もあった。

成長神話に終止符

連続増益がシェアハウス融資問題で止まった

出典:スルガ銀行決算資料

パワハラ

  スルガ銀本店がある静岡県沼津市で会見した中村委員長は、不適切融資について件数、金額ベースでは推計できないとしながらも、「本件は組織的問題だと認識している」との見方を示した。また目標達成に向けたパワハラが大きな問題だと指摘、「数字ができないならビルから飛び降りろと言われた」といった事例が報告書に盛り込まれた。同委は中村氏、仁科秀隆氏ら4人の弁護士がメンバーで、中立・公正な立場からシェアハウス問題の事実究明をすることを目的に5月に設置された。

  スルガ銀行に対しては金融庁も4月から立ち入り検査を実施、融資審査に問題がなかったかなどを調べている。第三者委の調査結果も踏まえて、金融庁は行政処分に向けた最終判断をするとみられる。

  同行によると3月末の総融資額は約3兆2500億円で、うち、シェアハウス案件は約7%の2036億円としていた。同行は投資用不動産融資が回収できないリスクも保守的に見積もるなどした結果、貸倒引当金は増え続け、6月末時点では前年同期比677億円増の870億円となっている。業績見通しについては修正を決定した際には速やかに開示するとしたが、単体自己資本比率が12%強あり健全性は十分だとした。

  第三者委報告では3月末のシェアハウス融資案件を含む収益不動産ローンの融資残高は約1兆9000億円と融資総額の約6割を占めていたことが分かった。

株価急落

  スルガ銀の株価は1月にシェアハウス運営会社「スマートデイズ」の賃料不払いが表面化した際、同行からの融資が多いと報道されたことなどをきっかけに下落が始まった。その後も融資の際に残高を証明する通帳記録の偽造や改ざんなどを行うなど同行員の不適切融資への関与や与信費用の大幅な積み増しなどのネガティブな情報が相次ぎ、1月19日に2452円あった株価は9月7日時点で569円まで落ち込んでいる。

  スマートデイズは5月に破産。物件所有者には今も賃料が振り込まれず、スルガ銀などが融資したローンだけが残っているという。8月29日に会見した所有者約280人の弁護団(団長・山口広弁護士、河合弘之弁護士)は、契約者の銀行取引履歴のコピーなどを示しつつ、書類の改ざんを指摘。「返せない借金を負わせる詐欺的なスキーム」だったとして、契約の白紙撤回を求めた。これについて有国社長は物件所有者に対する救済策については「個別の話し合いの中でやっていく」とし、一律の救済は否定した。

(第4段落に有国新社長の会見内容などを盛り込み更新します.)
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