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パウエル議長に解明迫るパズル、20年前にグリーンスパン氏も格闘

  • 米国だけが「繁栄のオアシス」にとどまれるのだろうかー元FRB議長
  • 米国の利上げは外資への依存度が高い新興諸国に打撃

世界経済が緊張を増す中で、米国だけが繁栄のオアシスにとどまれるのだろうか。20年前にアラン・グリーンスパン氏が連邦準備制度理事会(FRB)議長として格闘したパズルを、今度は新興市場国経済に危機が迫る中でジェローム・パウエル現議長が解かなくてはならない。

  新興市場国の株式と通貨については、JPモルガン・チェースやブラックロックが「感染」を警告している。こうした不安は、世界経済の好調さが持続可能かどうかにまで深まってきた。パウエル議長率いる連邦公開市場委員会(FOMC)に突きつけられたパラドックスは、米経済が力強さを増せばその分、金利を引き上げる論拠も強まるが、一方で新興市場国、特に国外マネーへの依存度が高い国への圧力も高まるというものだ。

Alan Greenspan

アラン・グリーンスパン氏

撮影: Andrew Harrer/Bloomberg

  国際金融協会(IIF)のチーフエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は「ジェイ(パウエル氏)は入り組んだ状況を切り抜けなくてはならない」と語る。「米経済は強いが、新興市場へのストレスは積み上がってきている」と説明した。今月のFOMCで今年3回目の利上げが決定するというのが大方の投資家の予測だが、その先については不透明性が広がる。

  ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は5日、トルコなど政治や経済に問題を抱えている国は複数あるとし、「世界全体にある種の感染症が広がりかねない。新興市場国に輸出する企業は直接打撃を受ける可能性もある」と述べた。

米雇用統計

  7日発表の米雇用統計が強い数字となれば、新興市場国への圧力はさらに高まるだろう。特に賃金に待望の増加加速の兆しが現れればなおさらだ。トランプ政権による関税を含め、新興市場国には他のショックも押し寄せる。ブラジルの政情不安など、国内要因もある。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨戦略責任者、マーク・チャンドラー氏は「FOMCの引き締めサイクルが終了に近づくまでは、新興市場サイクルは反転しないだろう」と4日のブルームバーグテレビジョンで語った。そのタイミングはかなり先のようだ。

  元FRB当局者で、現在はドイツ銀行のチーフエコノミスト、ピーター・フーパー氏によれば、FOMCの金融政策が国外動向の影響を受けた例は極めて少ない。1998年にグリーンスパンFRB議長(当時)が続けざまに3度の利下げを実施したのは、1年前からのアジア危機がロシアに波及し、米国の金融市場に影響し始めるという状況においてだった。

タイミングは中国次第

  FOMCが行動を検討するとすれば、今の波乱が中国に広がった時だろうとIIFのブルックス氏は分析する。確かにここ数年のFOMCはそうだ。利上げの手はずがほぼ整っていた2015年9月に引き上げを先延ばししたのは、中国の人民元切り下げが金融市場を揺るがした後だった。同じ事は2016年にも起きた。人民元の下落に歯止めがかからず、FOMCは3月に予定していた利上げを断念している。

  JPモルガン・チェースのグローバル経済担当ディレクター、デービッド・ヘンスリー氏は「中国で起きていることは極めて重要だ」と指摘する。「減速が劇的になる、あるいは金融の安定に現実的な問題をもたらすような状況になれば、これまでの方程式は使えなくなる」と述べた。

原題:Powell Must Answer the Question Greenspan Raised 20 Years Ago(抜粋)

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