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自民総裁選が告示、安倍首相と石破氏の一騎打ちに

更新日時
  • 安倍首相が国会議員票の約8割固める、世論調査では石破氏と拮抗
  • 社会保障改革、消費増税、改憲、通商政策など課題山積

自民党総裁選挙が7日告示された。歴代最長政権も視野に連続3選を目指す安倍晋三首相と石破茂元幹事長が立候補を届け出た。一騎打ちの構図となり、憲法改正や社会保障制度改革などが争点に浮上している。

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安倍晋三首相

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  安倍首相は党に提出した公約で、豪雨や猛暑への対応として河川改修、砂防対策など減災・防災のための緊急対策を今後3年間で集中的に実施する考えを明らかにした。生涯現役の社会を実現するため、社会保障制度全般の改革を進める方針も盛り込んだ。

  一方、石破氏は個性と自立性を発揮し、成長と豊かさを実現できる「真の地方創生の実現」のほか、より人を幸福にする福祉社会の実現を提唱する。また、複数の省庁にまたがっている災害対策を一元的に担う「防災省」の創設を提案している。

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石破茂元幹事長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、総裁選に向けた論戦について「国民には政治手法の話はよく分からない」と指摘。その上で、石破氏が目指すポストアベノミクスの経済政策は具体性が乏しく、石破氏が何を争点にしているのかが「分かりにくい」と話した。長期政権下で各省庁の官僚らが時間をかけて首相の政策を練り上げており、対案を出すこと自体が難しく、石破氏にとって厳しい戦いとなっているとの見方も示した。

  総裁選は国会議員票(405票)と党員・党友の地方票(同)の計810票で勝敗を競う。20日の投開票日まで約2週間の選挙期間だが、北海道で発生した地震を受けて7日に予定していた演説会や共同記者会見は10日に延期となった。安倍首相の選挙責任者を務める甘利明元経済再生相は、12年の総裁選では地方票で石破氏が安倍首相を上回ったことから、「地方票においても信任を得ることを目標にやっていく」と話した。届け出終了後、党本部で記者団に語った。

  首相陣営が3日に行った選対本部発足式には、党内7派閥のうち細田、麻生、岸田、二階、石原の5派閥と竹下派有志の代表者ら国会議員230人が出席した。毎日新聞が1、2両日に実施した世論調査では次期総裁にふさわしいのは、首相が32%、石破氏が29%と拮抗(きっこう)した。自民支持層に限ると、首相が65%と石破氏の18%を大きく上回っている。

  安倍首相の連続3選が確実視されているが、来年は春の統一地方選、夏の参院選、10月の消費増税も控え、政権運営には課題が山積している。

1.社会保障制度改革・消費税

  首相は政策ビラで、「人生100年時代」を視野に入れた社会保障制度改革に取り組む決意を明記。3日の日本経済新聞とのインタビューでは、今後1年で生涯現役時代に向けた雇用改革、次の2年で医療・年金などの社会保障制度全般にわたる改革を行う考えを表明した。具体的には継続雇用年齢の65歳以上への引き上げなどを検討するという。

  これに対し、石破氏も総裁選で掲げた政策で、2050年を見据えた社会保障制度の在り方を検討する国民会議の創設を提唱。4日の同紙のインタビューで、同会議では、10%超の消費増税を含めた国民負担について議論する考えを示し、安倍政権は増税を2回延期したことから、10%後のことを語っていないのはよくない、と指摘した。

  安倍政権下で実行された14年4月からの8%への増税は景気低迷を招いた。今回は経済への悪影響を緩和するため、駆け込み需要の反動減対策を講じる方針で来年度税制改正や予算編成で具体案を検討する。政府与党内では具体策として自動車税の軽減策などが浮上している。

2.外国人労働者受け入れ

  政府は、新たな在留資格を来年4月に創設する方針だ。介護・農業・建設・造船・宿泊のほか、水産や食品加工、外食など人手不足が深刻な業種で幅広く受け入れる方向で議論を進めている。政府は「移民ではない」との認識だが、外国人労働者の受け入れ拡大に大きくかじを切ることになる。安倍首相は7月の関係閣僚会議で関連法案の早期提出などを指示した。

3.憲法改正

  安倍首相は自民党の憲法改正案を秋の臨時国会に提出し、早期の国会発議を目指すと表明している。首相は9条について戦力不保持を定めた2項を維持したまま自衛隊を明記する案を提起。石破氏は2項削除が持論で、9条改正は急ぐべきではないと主張する。

  国会発議には衆参両院で3分の2以上の賛成が必要で、連立を組む公明党などの協力が不可欠。同党の山口那津男代表は先月のインタビューで、改憲には国民の幅広い理解が必要であり、世論調査などを分析すると「合意形成が大きく進展しているようには思えない」と慎重だ。

4.通商政策

  米国との通商交渉も難題だ。2国間の自由貿易協定で有利な条件を引き出したい米国と、環太平洋連携協定(TPP)の枠組みが最善とする日本の思惑は平行線をたどっている。米国は自動車への輸入制限措置も検討。安倍首相は「報復関税の打ち合いは何も生み出さない」とけん制するが、米国の理解を得られるかは不透明だ。

5.北朝鮮

  6月に行われた史上初の米朝首脳会談を受け、安倍政権は拉致問題解決に向けた日朝首脳会談を模索するが、開催のめどは立っていない。北朝鮮の核・ミサイルは日本の安全保障への脅威と判断し、地上配備型迎撃システムの取得を進める方針。防衛費の来年度概算要求額は過去最大の5兆2986億円に増加した。石破氏は北朝鮮問題は圧力だけでは解決しないとし、東京と平壌に連絡事務所を開設することを提案している。

(第2、3段落に両候補の所見、第5段落に自民党議員のコメントを追加します.)
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