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トヨタ電池子会社、中国でHV用電池さらなる能増も視野

  • HV用は21年ごろまでに1.6倍規模、国内も拡張へ用地取得検討
  • EV用電池は「技術に追いつく段階」、競争激化見込む-鈴木社長

トヨタ自動車の子会社で車載用電池を生産するプライムアースEVエナジー(PEVE)は、ハイブリッド車(HV)の需要の高まりを受けて、中国での生産能力のさらなる増強を視野に入れている。

Primearth EV Energy

PEVEの「バッテリーパック」

Source: Primearth EV Energy Co.

  PEVEは中国・江蘇省の工場に2棟目の建屋を建設し、HV用ニッケル水素電池の年間生産能力(電池が搭載される車の台数ベース)を現状の10万台に加えて11万台上乗せする計画を進めている。鈴木茂樹社長は静岡県湖西市の本社での8月31日のインタビューで、中国で「HVが受け入れられ始めている」とし、さらなる能力増強についても、足元の好調が続くならば「その覚悟というか、構えはしておかないといけないと思っている」と話した。

  世界最大の自動車市場となった中国では自動車メーカーに対して「新エネルギー車」を一定の比率で販売することを求める規制の採用を進めるなど、電池のみで駆動する電気自動車(EV)へのシフトを加速してきた。しかし、それとは別に導入されるメーカー平均での燃費規制の達成には販売規模が見込めるHVが中国でも求められてきており、トヨタは現地での事業を強化する方向に転じている。

  鈴木社長はトヨタは依然として電動化の軸足をHVに置いており、トヨタからのHV用電池の需要を「カバーするだけでいっぱい」という。国内でのニッケル水素電池とリチウムイオン電池の生産能力も現状の年産160万台から21年ごろまでに250万台規模に増やす見通し。さらに今後湖西市内に新たな用地取得を検討している。一方で、電池の生産設備に必要な投資は「かなり大きい」と言い、国内外の能力増強に対して決断は「慎重にならざるを得ないところがある」と話した。

  PEVEはトヨタと松下電器産業(現パナソニック)の合弁として1996年12月設立。トヨタの「プリウス」などにニッケル水素電池やリチウムイオン電池を供給し、HV用の電池では累計生産台数1300万台に達した。PEVEの現在の出資比率はトヨタが80.5%、パナソニック19.5%となっている。

EV用では遅れ

  一方、EV用の電池では中国メーカーを含む国内外の競合他社に先行されており、技術の確立に向けて開発を急ぐ考えを明らかにした。

Primearth EV Energy

PEVE・宮城工場での製造風景

Source: Primearth EV Energy Co.

  鈴木社長はプラグインハイブリッド車(PHV)やEVといった容量や出力が大きい電池について、「開発は試作も含めて一生懸命やっている」と説明。EV用では「まだ技術に追いつく段階」という。「グローバルなリーディングカンパニーを目指す上では品ぞろえとしてはもっておきたい」とし、20年代の早い段階で技術的なめどが立てられなければ本格的な参入は難しくなる、と社員を鼓舞していると話した。

  東海東京調査センターの杉浦誠司アナリストは、EV用電池に関しては航続距離や安全性、コストなどでトヨタが求める性能が高く、HV用で実績があっても高密度の電池をつくるには「ハードルが高い」と指摘する。ただ、トヨタが最優先でやっているのはHVで、どこまでEVが市場に広がっていくかわからない中では、「慌てる話ではないだろう」と話した。
  
  鈴木社長は、電池メーカー同士の競争は激化しており「非常に脅威」と話す。国を挙げてEVの普及を進めている中国では寧徳時代新能源科技(CATL)などの現地メーカーも力をつけており、電池供給についてトヨタは「そういうところも含めて考えられるのではないか」とみる。

  一方、リチウムイオン電池より充電時間が短く航続距離が大幅に伸びると期待され、トヨタが20年代前半に実用化を目指す全固体電池については、電池の「評価を通じて貢献したい」とし、これまで培った安全性や性能を一貫して評価できる体制を活用してほしいと話した。

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