関空はきょうも全便欠航、再開のめど立たず-企業は代替ルート検討

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  • パナソニクや東芝メモリ、スクリンHなどが関空経由で製品を輸出
  • 観光面含め台風の影響額は2000億-3000億円規模にも-エコノミスト

Kansai International Airport on Setp.

Photographer: The Asahi Shimbun/The Asahi Shimbun
Photographer: The Asahi Shimbun/The Asahi Shimbun

台風21号の影響で滑走路などが冠水して閉鎖された関西国際空港は再開のめどが立っておらず5日のすべての発着便が欠航となった。運用再開までに1週間程度かかる可能性があると報じられるなど閉鎖の長期化懸念が浮上しており、同空港を輸出拠点として活用している企業の間には代替ルートを検討する動きも出ている。

台風による高潮の影響で冠水した4日の関西国際空港

Photographer: The Asahi Shimbun via Getty Images

  関西国際空港を運営する関西エアポート広報担当の山口真美氏は、6日の運航再開の見通しはないと電話取材に話した。状況の整理がついておらず、現場の担当者は被害の把握に追われている状況だという。正式決定はしておらず、決まり次第発表するとした。一方、共同通信は5日、被害が深刻な場合には滑走路やターミナルビルの運用を再開できるまでに1週間程度かかる可能性があることが空港関係者への取材で、分かったと報じた。

  同社は5日午前の取材時には冠水はかなりひいているものの、今後滑走路や誘導路、各種の施設や設備の状況などを調べる必要があるとしていた。空港連絡橋を管理する西日本高速道路は同日、タンカーの衝突で「重大な損傷」を受けており復旧の見込みは立っていないものの、空港関係者、空港内に取り残された人を運び出すためなどに限定して緊急車両を通行させていると発表した。

  国土交通省の統計によると、関西空港は2017年度に平均で1日当たり約2334トンの貨物を取り扱う国内3位の空港。旅客数でも3位の拠点となっている。大阪税関の統計によると、同空港からの17年度の輸出額は前年度比11%増の5兆6439億円。このうち22.9%と最大の構成比を占めたのが「半導体等電子部品」、「IC(集積回路)」の構成比が14.7%だった。「半導体等製造装置」は4.1%だった。

  第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「大阪は多くの外国人を受け入れており、観光の面での影響も出るだろう」と指摘。工場が止まっているので生産に影響が出ているだけでなく、物流にも影響が出てくるとし、台風21号の経済影響額は2000億ー3000億円規模になる可能性があるとした。

鉄道も不通

  大阪府門真市に本社があるパナソニックは関西空港からコンデンサーなどの電子部品を中国やアジア地域に輸出している。広報担当の刑部智恵子氏は関西空港以外の空港から出荷すべく調整を行っていると述べた。

  東芝メモリ広報担当の山路航太氏によると、同社の四日市工場(三重県四日市市)で製造した半導体部品を関西空港と中部空港から中国や台湾などに輸出している。今後については関西空港の復旧状況を見ながら他の空港を経由する方法も検討を進めているが、具体的な方針は決定していないという。同工場への生産に影響はなく、工場も通常通り稼働していると話した。

大阪府忠岡町では倒れた電信柱が道路を遮断

Photo by The Asahi Shimbun via Getty Images

  三菱マテリアル広報担当の清水宏氏によると、同社は電子部品材料などを関西空港を通じて主にアジア向けに輸出しており、空港の復旧までに1-2週間程度かかった場合には、別の空港の利用を検討することになるという。また、銅加工品を製造する堺工場(大阪府堺市)が浸水したため、4日夕方から稼働を停止しているほか、半導体シリコンウエハーの原料を生産する四日市工場(三重県四日市市)では設備が破損したため2カ所あるプラントのうち1つが稼働を停止していることを明らかにした。

  電子部品を製造する村田製作所は、関西空港を主要な輸出拠点として利用していることから、影響を最小限に抑えるため、国内工場で生産した製品については、他の主要空港を代替利用する方法を検討していると発表した。

  半導体製造装置などを製造するSCREENホールディングスも部品などを関西空港から中国など海外に輸出している。同社広報担当の山本真紀氏は、代替の空港については今後検討していくと話した。精密加工装置メーカー、ディスコの広報担当者は関西空港から中国や米国などに輸出している砥石(といし)について、今日以降は成田空港や中部空港からの代替輸送を検討し、影響を最小限にとどめるとした。

  空港が閉鎖していることから、ANAホールディングスは5日、同空港から発着する国内線34便、国際線14便のすべてを欠航した。日本航空も同空港から発着する国内線12便、国際線16便を欠航とした。ANAの子会社で関空を拠点とする格安航空会社のピーチ・アビエーションも72便を欠航。チケットは全額払い戻す。連絡橋の再開時期が分からないため運航再開時期は未定という。

  空港と対岸の泉佐野市を結ぶJR西日本と南海電気鉄道の鉄道路線は運転を見合わせており、両社ともに再開のめどは立っていないとした。

(あすの運用についてや共同通信の報道、村田製の発表を追加します.)
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