コンテンツにスキップする
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日銀ETF買い減、ステルステーパリングでないとストラテジスト

更新日時
  • 8月はTOPIX0.43%下落で買い見送り、月間購入金額は最少
  • 無駄な買い入れ回避や株価変動許容で政策の持続性高める意図との声
The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan, on Tuesday, July 31, 2018. The central bank left its key interest rates unchanged while announcing policy tweaks, including a shift in purchases of exchange-traded funds toward assets linked to the Topix equities index and flexibility in bond operations.
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の8月の上場投資信託(ETF)購入額(除く設備・人材投資)が2016年7月29日に年6兆円めどとなってから最少になった。7月に金額に変動性を持たせた直後だけにステルステーパリング(隠れた緩和縮小)と捉えられやすいが、株式市場では買い入れ長期化を見据えた対応との見方が出ている。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda News Conference

日銀プレート

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  8月の日銀の通常ETF購入額は1406億円と、昨年10月の1418億円を下回り、買い入れ額増額を受けた16年8月以降で最も少なくなった。注目を集めたのが、日銀がETFを買い入れる判断の目安にしているとされるTOPIXの午前終値の前日比下落率が0.43%と0.42%の日に買いを見送ったこと。これら下落率は1-7月に見送った際の最大下落率0.30%を大きく上回った。結局買い付けたのは0.56%の10日と1.72%の13日の2日にとどまった。

  ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「8、9割の確率で日銀は買い方のルールを変えた。複数の指標を見始めた可能性がある」と述べた。「やっていることはステルステーパリングのようだが、本当のテーパリングならマーケットがもっと反応しているはず」だとし、「買い入れ政策延命のため無駄な買い入れを行わないことが狙いではないか」と推察する。

ETF買いのルール変更?

8月は下落率0.43%で買い入れ見送る

Sources: Bloomberg

注:2016年8月以降の推移、下落場面すべてで購入した月は最も低い上昇率を表示

  日銀は7月31日の金融政策決定会合で、年約6兆円をめどとしているETFの買い入れについて、新たに「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて買い入れは上下に変動しうるものとする」と明記した。雨宮正佳副総裁は8月2日、年間買い入れ額について「どの程度増えたり減ったりするかは市場動向に依存して決まってくる。今の段階から必ず増えるだろうとか、必ず減るだろうと言うことは適当ではない」と発言した。

7月会合後の黒田日銀総裁の発言はこちらをご覧ください

  「株価下落時に機械的に必ず買うのは、長い時間軸を考える時には結構厳しいオペレーション」と、アセットマネジメントOne運用本部の柏原延行チーフ・グローバル・ストラテジストは言う。7月会合での最も大きな変更は「オペレーションを縛られないようにすることだったのだろう。それ自体が金融緩和の持続性につながる」とし、出口戦略ではないと受け止めている。相場が下げると日銀が買うため安い株価で買えないことに不満を持つ投資家はいるとし、相場がクラッシュした際に買える余地を残し、「株価の自律的な変動性が許容される」ことを同氏は評価する。

  年前半に大規模な買い入れを行った結果、ETFの年買い付け枠6兆円に対してすでに約6分の4を消化した。秋は「貿易問題に加えて米国株が中間選挙の前に調整しやすいことを考えると、それに備えて買い入れ余力を温存している」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストはみる。「今後も下落率0.4%で買わない可能性はあるが、年末には6兆円前後で仕上げてくるだろう」と同氏は述べ、「ステルステーパリングとみるのは明らかにミスリード」と断じる。

8月は買い入れ額が減少

2016年7月のETF増額決定後の最低を記録

Source: 日銀

注:「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」を除いた通常の買い入れベース

  一方、野村証券の松浦寿雄チーフ・エクイティ・ストラテジストは、ステルステーパリングの可能性が高いとの見方だ。「株価下落が続けば6兆円より増えるかもしれないが、行き過ぎた金融緩和の修正で瞬間的には減額を意識している」と同氏は話す。6兆円に変更される前の買い入れ額は3兆3000億円だった。同氏は減額意識ならまずその間の4兆5000億円程度が考えられるという。

  日銀の政策変更について判断するには「年が明けて債券のように金額が大きく未達になっているかを見る必要がある」とアセマネOneの柏原氏。年間買い入れ額が6兆円になってから、買い入れを見送った時の最大のTOPIX午前下落率は16年10月12日の0.45%で、8月の0.43%はそれより小さい。8月の買い入れ回数2回は17年10月と同じだ。
 
  日々一定額を購入している「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」対象のETF3000億円を含めた、日銀が年初から買い付けたETFの総額は8月末時点で3兆8772億円。年間めどである6兆円の65%になった。日銀は10年10月にETF買い入れを決定、累計購入額は21兆2997億円。

  9月に入ると、日銀は5日までの3営業日のうち0.63%下落した3日と0.75%安の5日の2回買い付けた。2回合わせた買い付け額は1406億円で、8月の合計額と早くも同じになった。

(最終段落に9月の買い付け動向を追記します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE