来週の日本株は3週ぶりに反落の見通し、米国の対中関税警戒

  • 米大統領、6日通過後のタイミングで2000億ドル関税発動を計画
  • ISM製造業や雇用関連など米国で重要統計、景気心理に影響も
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

9月1週(3-7日)の日本株は3週ぶりに反落する見通し。米国が再び中国に対し関税を発動する可能性が高まっており、貿易摩擦が景気に悪影響を及ぼすリスクが警戒される。半面、為替の安定やPERなど投資指標からみた割安感は相場を下支えし、株価指数の下方圧力は限られそうだ。

  事情に詳しい関係者によると、トランプ米大統領は中国からの2000億ドル(約22兆2200億円)相当の輸入品に対し関税を発動したい考えだ。米政府は6日まで企業などからの意見を募集中で、大統領は期限通過のタイミングでの発動を計画している。今回は半導体製品をはじめ、消費財など幅広い品目が対象。中国も米製品600億ドル相当に関税を賦課する構えで、制裁がエスカレートしていくリスクに市場参加者は戦々恐々としている。

  米国では重要経済統計の発表が多く、4日に8月の供給管理協会(ISM)製造業景況指数、7日に雇用統計などがある。市場予想はISM製造業が57.6(前回58.1)、雇用統計での非農業部門雇用者数は19万1000人増(同15万7000人増)、平均時給は前年比2.8%増(同2.7%増)の見通し。ISM製造業が7月に続き市場予想を下回った場合、米景気の先行き不安が増幅されそうだ。

  一方、為替は1ドル=110円台と期初の106円付近から円安水準での取引が続いている。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、「企業は期初に保守的な計画を公表後、第1四半期はそこそこ順調な進捗(しんちょく)を示し、10月後半からの上期決算に期待が持てる」と言う。大和証券によると、金融を除く200社の2018年度経常利益は11.4%増の予想と前回から2.4ポイント上振れ。通信セクターの増額修正幅が大きくなっている。8月5週の日経平均株価は週間で1.2%高の2万2865円15銭と続伸した。

<市場関係者の見方>
●三菱UFJ国際投信株式運用部の内田浩二チーフファンドマネジャー
  「トランプ米政権は中国製品に対する追加関税発動を決める可能性が高く、中国側の対抗措置を予測しづらいことが売り圧力を強めかねない。米国からの輸入が少ない中国は、同規模の関税措置を打ち返すことができず、中国国内で米企業の活動を制限することもできないため、何をするか分からない不透明感がくすぶる。対中交渉がまとまらない場合、米国は20日の自民党総裁選後に自動車関税などで『日本叩き』に出るリスクもある。貿易問題がくすぶる中、米企業が新規投資に慎重になる公算も大きく、この場合は米金利の低下などを通じ日本株の下げ要因になる」

●しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長
  「貿易問題を巡る米中対立への懸念が根強い一方、物価や金利安定下での米国の適温経済持続期待が下支えする。米国が中国製品2000億ドルへの関税を発動した場合、想定シナリオとはいえ、仕掛け的な売り圧力が強まろう。半面、米国ではインフレ率が2%台、長期金利は3%割れで安定とゴルディロックスの状況を維持している。8月雇用統計での雇用増や賃金の伸び抑制も期待されそう。FRBの利上げは年内あと2回、来年2回と想定している。緩やかな利上げペースにより景気の回復局面は長期になるとみられ、米国をはじめ世界の株式市場をサポートする」

●SMBC信託銀行投資調査部の佐溝将司マーケットアナリスト
  「米国の対中国追加関税に対するパブリックコメントが終わる6日が意識され、その途中に中国が真っ向から反発することやトランプ大統領の過激な発言に警戒が必要だ。ISM製造業景況指数は水準自体は高いものの、若干の悪化が見込まれ、予想外の大幅な上昇以外はプラスとみられないだろう。米国株の最高値や日本株の連騰は売買代金が少ない中での上昇で、いわば少数派の見方だった。9月1週から本格的に海外投資家が休暇から戻ってくる。2000億ドルの追加関税や新興国通貨安を嫌気し、利益確定の売りが入っても不思議ではない」

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